自然界の風を再現する扇風機。
最高の香りと食感を実現する感動のトースター。
100色以上の中から選んだ透明感のあるグレー。
バルミューダのプロポジションって本当に素晴らしい。
扇風機とかオーブンは当たり前に持ってるけど、バルミューダのは欲しい!と本気で思ってしまう。
最高の注ぎ心地を実現した小さくて美しい電気ケトル。
香り高いアイスコーヒーを淹れる方法とは。
家でとびきりのカレーライスを楽しめるオリジナルカレーソース。
素晴らしい夏の一日のようなカレーライスをお楽しみください。
シズル感たっぷりのビジュアルももちろん大事だけど。
このプロポジションってプランナー、マーケターからするときちんと設計するための書籍や記事が圧倒的に少ない。
唯一そこをきちんと書いているのが、磯部光毅オフィシャルブログ "沖に向かって泳ぐ"だったりする。
いくつか抜粋。
プロポジション(Proposition)。
「プロポーズ」の名詞形ですので、
日本語で言うと「最も伝えたいこと」となります。
ざっくりメッセージという言い方でもいいでしょう。
(クリエイティブブリーフの超基本④-1 プロポジションは2段階で、の巻より)
プロポジションは、その商品における購買を促進するための潜在的なメッセージだ。
基本的には間接的に伝わるものだが、そのまま広告表現として使われることもある。
磯部さんのブログでは、
Aブランドは、△△でできている。
Aブランドは、△△の時使うのがいちばん。
Aブランドは、会社△△のすべてがつまった商品です。
Aブランドを試そう、日曜は△△のお店で。
など、伝え方の手口によって、プロポジションは変わりうると言っている。
また、入口のプロポジションと出口のプロポジションと2つのプロポジションに分けられると定義している。
まず、入口のプロポジションについて。
<入口のプロポジション>
これは「商品オリエン」に近いものです。
商品の特性をまとめて、その訴求点を書いたプロポジションです。
商品USPと言ってしまってもいいかもしれないです。
○○○(商品名)は、△△△(ベネフィット)してくれる。
みたいな書き方になるでしょう。ここが出発点です。ここでクリエイターに渡してしまうという仕事の仕方もあります。
クラシックな仕事スタイルではそうすることが多いと思います。
大CDがついている場合もそうなることが結構あります。
要はクリエイターに、「これで上手に料理して」と渡す訳です。
このプランニングの商品オリエン段階で
クリエイターにお任せにする場合、いくつか長所と短所があります。<長所>
・クリエイターの自由度が高い。センスが生かしやすい。
・表現オリエンテッドの企画ができやすい。<短所>
・クリエイターが自分の得意な広告話法にはまるプロポジションを
選択しやすいため、売れるためのツボをはずす可能性もある。
・一般に競合プレゼンに弱いことが多い。(アウトプットがロジカルに説明しづらい)
クリエイティブにどの段階で渡すかは、営業の腕の見せ所という側面もありますね。
要は、この難しいプランニングを何で突破するか、誰で突破するかという側面もある訳です。
次に、出口のプロポジションについて。
<出口のプロポジション>
先ほど、たくさん例を挙げたプロポジションのパターンはすべて表現に直結したプロポジションであると同時に、コミュニケーションの道筋、ターゲットに届くためのツボでもある訳です。磯部は、これを見つけることこそがプランニングだと思いますし、ここにプランニングのカタルシス(快感)があると感じます。
僕はよく「世界地図を塗りつぶす」という表現を使うのですが、この「ツボ」となるプロポジションをみつけるのには、水平思考で(つまりいくつも代案を出すブレーンストーミング的に)あらゆる戦略切り口が探す必要がある訳です。プランニングもこの段階になってくると、
AだからB。BだからC。というような垂直思考が通用しなくなります。
それは、答えがひとつではないからです。Aだから、Bかもしれない。でも、Cかもしれない。
Bだとすると、それはDかもしれないし、Eかもしれないという風に正解のない作業の森を突き進んで、より正しく強く効果的な方法をたくさんのオプションの中から選び取って前進するものなのです。
ターゲットに届くためのツボであるプロポジションを見つけることこそプランニングである、と言っている。
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にも詳しくまとめられているが。
また、プロポジションの構造についても語られている。
プロポジションとは、「最も伝えたいこと」。
それは中学校のとき、英語の教科書で習った「5文型」のいずれかで書きましょうというのが、今日のテーマです。
① S+V SはVする
② S+V+C SはCだ
③ S+V+O SはOにVする
④ S+V+O1+O2 SはO1に、O2をVする
⑤ S+V+O+C SはOがCであることをVする懐かしいですね。
このどれかにあてはまる形で、プロポジションを書くべしというのが磯部の考えです。
なぜこの形をとるべきなのか?それはプロポジションは、名詞と動詞でできているべきであるからです。
逆の言い方をすると形容詞だけでできたプロポジションはないと言ってもいいかもしれません。
形容詞は、広告アイデアのコアになりえないアイデアのコアにならない、つまりプロポジションではないのです。
Aブランドは、お母さんに、○○する。
Bブランドは、サラリーマンが、△△になるのを、手助けする。
Cブランドは、あなたに、××をくれる。
Dブランドは、○△で、つくられている。というようにソリッドに五文型のいずれかで表現できるところまで落とし込まないと、プロポジションを設定する意味がありません。
名詞、動詞は、輪郭がはっきりしたものです。
そのブランドの意味や役割を定義づける働きがあります。
コミュニケーションの「あんこ」になることができます。しかし、形容詞はその力はありません。
クリエイティブブリーフが、広告の「設計書」である以上、
その中心的な骨組みとなるプロポジションは、固形物でないといけません。それは、名詞、動詞。
確かに、表現物を、受け手は最初、形容詞で感じ取るかもしれません。
「なんか、楽しい感じ」「ナチュラル感が、気持ちいい」などなど。
でも、送り手が作り上げる際は、名詞と動詞の骨組みでつくり、形容詞でふくらみをつくるもの。
結果、ブランドの全体像が形容詞的にターゲットの目に映るのです。
形容詞だけで規定されたメッセージはふわっとして結局伝わらないのです。
(クリエイティブブリーフの超基本④-2 プロポジションは5文型、の巻より)
つまり、プロポジションは形容詞ではなく、名詞と動詞で設計する必要がある。
バルミューダの話に戻ると、コモディティ化した世の中で、素晴らしい扇風機を売るのではなく、素晴らしい夏を売るという視点で商品及びメッセージを開発。
窓開けっぱなしのあの感じ。
自然の風が家の中を吹き抜けたら最高。
そんな風を生み出す扇風機を目指し、二重構造の羽根を着け、渦の無い自然な風を実現した。
そして、「バルミューダの扇風機は自然界の風を再現し涼しいひと夏を提供する」というプロポジションを設定し、コミュニケーションを行った。
二重構造の羽根の扇風機です、とそのまま機能を言うよりもよっぽど買いたくなる。
トースターでは「素晴らしい朝」を売る、炊飯器では「素晴らしい食事」を売る、というモノではなく体験をうまくプロポジションに設定してヒットを飛ばしている。
とても参考になる。