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PDCAはもう古い、次はOODAだ

PDCAという概念を大学の頃に知ってから、かれこれ何年ったのか。

マーケティング領域ではPDCAは使い古されたコトバでもある。

 

だが、割とマーケティングの先進企業と言われる広告主であっても、PDCAという概念がここ最近やっと上層部にまで浸透してきたように感じる。

現場は当たり前に使っているのだが、上層部もその概念を理解・体現し、やりっぱなし、散らかしっぱなしの施策ではなく、きちんと効果を見て次の施策に繋げることが習慣化してきた感がある。

 

それくらい、浸透というのはとっても時間がかかることだ。

 

で、やっとPDCAが現場だけでなく色々な企業の隅々に浸透してきたが、次に必要なのはOODAという概念なのかなと。

 

PDCAは言わずもがな、Plan:計画Do:実行Check:評価Action:改善の頭文字をとった概念だ。

それに対し、OODAは、Observe:監視Orient:情勢判断Decide:意思決定Act:行動の頭文字をとった概念。

 

もともとOODAは、朝鮮戦争の戦場で生まれた、指揮官のあるべき意思決定プロセスを分かりやすく理論化したものであり、最近ではビジネスでも利用されつつある。

 

PDCAとOODAの違いについては多くの記事があるのだが、乱暴に言うと、PDCAは上層部が机上で考えた戦略を現場に落として実行するものであり、OODAは現場が状況判断をして戦略をその場で作り即座に実行するものだ。

 

この2つは戦略を立てる場所が違い、実行までのスピードも異なる。

 

何故このOODAが今必要かと言うと、ここ最近のマーケティング手法の陳腐化までの速度が急速に上がってきていることだ。

メディア環境の大きな変化、生活者の嗜好の変化で、いままで成功と言われていたビジネスモデルがすぐに古くなってしまうことにある。

 

カンブリア宮殿とかで特集されるような著名な経営者もたった数年で失敗経営者とみられる恐れもあり、それくらい今使えるマーケティング手法がものの数年で使えなくなってしまう。

個人的には大好きだった番組、マネーの虎の虎側にいたほとんどの経営者が倒産や事業を大幅に縮小しているのを見ると、こんなにも変化の激しい世の中になったのかと改めて思う。

 

戦略→実行→改善のサイクルをもっともっと早く回さなければ、市場の環境変化に対応することができない

 

そして、普段の広告業務に照らし合わせてみると、戦略立案から実行までかなり時間を要してしまっている。

勿論、デジタルなどすぐに作ってすぐに回せるメディアもあるのだが、メーカーであると戦略から実行まで長い物で約半年かかっているものもある。

 

例えば、テレビCMや店頭ツール(ボードやポスター、什器)がそれに該当するだろう。

テレビCMや店頭ツールは、ターゲット選定、インサイト発掘、コミュニケーションの大きな戦略立案、そして戦略を絵にして多くの関係者の合意を得た上で(ここまでがすっごい大変なのだが!)、タレント契約、撮影、制作、修正、納品を行い、そしてそれを元にした店頭商談が並行して行われる。

 

お店に並べるために半年前から広告会社にはオリエンテーションを行い、何度も打ち合わせを重ねて納品されるのだ。

つまり、半年後の生活者をイメージしてマーケティングサイクルを回しているのだが、実際、市場や生活者の環境は凄い勢いで変わっているため、通常のPDCAサイクルでは全然遅いのだ。

 

現場で必要と思ったら、その場で急ぎ戦略を考え、どんどん実行していくことが今の変化の波に対応できる唯一の策となる。

 

人によっては、これからはDCAP(ディーカップ)だ、なんて言う人もいう。

まず、Do:実行から初めて、それが良かったかCheck:評価し、Action:改善につなげていくのがイマドキなのだと。

 

考えるよりもまずはやってみる。

いまはとにかくスピードが最優先課題で、そのための広告主側の体制変更も必要だし、意思決定のための承認フローも変えないといけない。

 

少数精鋭で社内の承認プロセスを圧倒的に少なくし、現場に責任を委ね、どんどん現場判断で策を回すことができる企業が生き残る。

昔のやり方に縛られ、やり方を変える勇気の持てない企業は急速に廃れていく恐れがある。

 

 

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

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