数年おきに、びっくりするくらい優秀な新人が入ってくる。
「中途1年目だよね?」と思うくらい、頭の回転も早く、口も達者な切れ者の新人が出てくるものだ。
優秀な新人が入ってくる時期に、数人カタマリで同じように優秀な子が数人入ってきて、この世代は優秀な子が多いね、なんて言われやすいのもあったりする。
こういう「新人できすぎ君」は、そのまま継続的に伸び続けていく子もいれば、途中でへんな方向に行ってしまう子もいる。
探究心は強いのだが、会社のベクトルと異なる方に強く向かってしまい、周りの人間はついていけなくなる。
上層部からは、「あいつ、あの時期がピークだったな」「もうピークアウトしたな」なんて言われることも多い。
そんな新人できすぎ君の陥りがちな罠がある。
1つに、解けないものがないという問題。
新人できすぎ君にありがちなところに、なんでも器用にできすぎてしまうため、机の上の、目の前のことで課題が解けてしまうことにある。
頭がいいから、自分で分析できてしまう。
頭がいいから、自分で解決策を見つけてしまう。
頭がいいから、他の人に任せなくなって自分で全部抱えてしまう。
結果、他の人を信じられずに、自分が解くものが最良の解に見えてしまう。
実際、何かのチームリーダーになった時にそれが顕著に出てしまう。
下の人に任せられない。
全部自分で抱え込んで、仕事が多すぎるとか、下の人が育っていないとか愚痴をこぼす。
自分が他の人を育てることよりも、目の前の課題を解くことに精いっぱいになってしまう。
心の底に「頭のいい自分しか解決できないから、人には任せられない、信じられない」という気持ちがどこかに持っているためだ。
もっと優秀な人や、詳しい人に話を聞くと、自分では思いもつかなかったような解決策を持っていることは本当に多い。
考えもしなかったようなアイデアを他の人は実はたくさん持っていることに、どこかで気付けば良いのだが、新人できすぎ君にありがちな、全て自分で解けてしまうという器用さが他の人に解を求めるという行動を拒んでしまう。
すると、成長はどこかで止まってしまい、自分自身の知っている目の前の世界でしか物事を解こうとしなくなる。
どこかで、他の人から解を導くのが上手い人と組むしか目が覚めることはほぼない。
解けないことはないけど、想定内のアウトプットに留まってしまうというのが、新人できすぎ君の罠だ。
もう一つが、消えていく謙虚さという問題。
社内でも上層部に評判だけが先行している人がいる。
実際、一緒に仕事をしたひとは、その人のことをかなり酷評しているが、口が達者だったり、結果の大きさから上層部はすこぶる評価していることがあったりする。
出来る人は、褒められ、認められることで、自分に自信を持つ。
自信を持つことは大事だが、徐々に謙虚さを忘れ、出来ない人や自分を理解してくれない人を攻撃するなど、謙虚さを忘れてしまう。
可愛げのない人は、知らぬ間に人が離れていくし、相談も減っていく。
伸びているときこそ、天狗にならずに、いつまでも腰の低い人の方がずっと愛されていることに気付くべきだ。
本当に優秀な人こそ、腰が低く、誰からも愛されることを知らないといけない。
メンタリストDaiGoの弟、松村亮吾が最近テレビやWEBで取り上げられているが、そのときに兄のDaiGoが言った言葉が興味深い。
こんなようなことを言っていた。
「僕は弟を尊敬しているところがある。それは、弟は人と組んで大きな成功を手に入れていることだ。僕には、誰かと組んで何かをやることがどうしてもできなかった。僕は一人でずっとやってきたが、弟が他の人と組んで成功しているのを見ると、他の人を巻き込んで成功するのが、これからの時代なのかなと思う」
つまり、自分一人で課題を解く優秀さよりも、周りと組みながら、課題を解決することがこれからは大事であり、誰からも愛され、誰からも信頼される人でなければならないということだ。
優秀であっても、謙虚さを忘れてしまうと、人は離れてしまい、孤高の存在で終わってしまう。
30歳を過ぎた頃から同じ社会人でも明確な差が出始める件というブログで語られていたが、「どこかで名乗りをあげる」ということも、新人できすぎ君に必要なハードルだったりする。
入社当時ブイブイ言わせていても、徐々にトーンダウンしていく新人君も正直多く、「あいつは昔はすごかった」みたいに言われる人も実際いる。
趣味ができた、結婚した、子どもができたなど、仕事以外に熱量を吐き出す機会も年を重ねると多くなってくるわけで、大きなチャンスも気づかずにスルーしてしまっていることもある。
そんなチャンスは、「○○プロジェクトやってみるか?」「会社の○○という研修あるんだけど、やってみないか?」なんて普通の顔をして近寄ってくる。
「いや、最近忙しくて」「自分はあまり興味ないので、、」なんてチャンスを理解ずにスルーしてしまい、名乗りを上げるチャンスをみすみす逃していることもあったりする。
基本的に負荷のかかることは全て名乗りを上げるチャンスだ。
他の人ができないから声がかかっていたり、局長や役員になることを期待されて難易度が高く、誰もやりたがらなかったプロジェクトの話が舞い込んだりしてくる。
年をとると守りに入ることが多くなる。
体のこと、家族のこと、他にやりたいことなどで、ついつい言い訳が多くなる。
いつまでも自分をアップデートしないと、広告会社の人間なんて所詮仲介業者なんだから、すぐにいらない人になってしまう。
いまをときめく「新人できすぎ君」。
いつまでも輝き続けるために、まっすぎに伸び続け、いつまでも謙虚に、名乗りをあげるチャンスをきちんとものにしてほしいなと最近よく思う。