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サブスクリプションボックス人気の背景にあるセレンディピティ・マーケティングとは

セレンディピティとは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見することと定義される。

 

一昔前の広告ってセレンディピティに溢れていたように感じる。

偶然の出会い、予想外の発見で心躍り、気付けば欲しくなって買っている商品があった。

そんなワクワク体験を提供するのが広告だったのではないか。

 

デジタルが普及し、どんどんターゲティング精度が高まり、欲しい人に広告が届けられる時代。

一度見た商品からしつこいくらい追いかけられるリターゲティング広告。

 

そして情報過多になったことで、ソーシャル上の友人の投稿から情報摂取するソーシャルフィルタという環境変化。

 

知らぬうちに、身の回りからセレンディピティが減り、もともと興味があったカテゴリからのレコメンドで溢れるようになった。

興味があるカテゴリにはより深くなるが、興味が無かったカテゴリはより疎遠になる。

 

この反動で生活者は”刺激”をもとめ、新しい出会い、セレンディピティを求めるようになった。

サブスクリプションボックスが米国を中心にブームとなり、日本でも徐々にそのプレイヤーが増えつつある。

このサブスクリプションボックス人気の背景は、このような”セレンディピティ反動”が要因ではないかと個人的には思っている。

 

海外では、開封の意味を持つ「#unboxing」のハッシュタグを用いて、開封後のサブスクリプションボックスの投稿が見られる。

65万件もあり、だいぶ普及が進んでいることがわかる。

 

サブスクリプションボックスは、定額で届けられる商品ボックスのこと。

企業側で異なる商品が毎回チョイスされるため、自分でどの商品がくるかわからず、ワクワクさせるところがこのサービスの面白さだ。

 

この”ゆだねるサービス”は、コスメと相性がよく、美容系の企業が積極的に展開している。

数多ある化粧品の中から自分に合ったものを選ぶのは難しいが、セレディピティによるコスメとの出会いが何よりも楽しいのと、届けられる商品よりも安い金額を定額で受け取ることができるのが魅力となっている。

 

サンプルやミニボトルも複数入っているため、インスタ映えも期待でき、ネタ探し女性にも喜ばれる。

 

 

BEAUTYCON BOX

年会費99ドルで4半期に一度、計4回ビューティーボックスを発送し、それぞれのボックスは発送時のシーズンをテーマにしている。

 

GLOSSY BOX

新規顧客の約80%をInstagramなどプラットフォームの口コミで獲得し拡大。世界中に定期購入者がいる。

 

MEMEBOX

最近になって約6,600万ドルを資金調達した、サンフランシスコに拠点を構えるスタートアップ企業。

韓国でサブスクリプションボックスサービスをスタートし、大人気のEコマースサイトへと成長。

 

IPSY

No.1 サブスクリプションボックスブランド。

はYouTubeスターであるMichelle Phanが設立。

 

SEPHORA PLAY

毎月厳選したビューティーサンプル5点を配布。

 

BIRCHBOX

商品紹介の動画が毎月YouTubeに投稿される。

インフルエンサーや業界のエキスパートに商品や使い方を紹介してもらい商品とコンテンツでファンを増やしている。

 

VNYL

定期レコード盤サービス。

Kickstarterのプロジェクトとしてスタートし、月額定額24ドルでアルバム3枚が毎月定期購入者に送付される。

 

日本でもサブスクリプションボックスに参入するプレイヤーが増えている。

 

BLOOMBOX

@コスメショッピングを展開するコスメコムが運営するサブスクリプションボックス。

@コスメへの投稿もスムーズにできるUI。

 

MY LITTELE BOX

パリ、ロンドン、東京で会員が10万人。

厳選されたコスメや今パリで流行っているおしゃれなアクセサリーなどが詰まっている。

 

何が届くかわからない福袋的なワクワクが得られるサブスクリプションボックス。

運営会社からすると生活者から定期的な収益が見込め、企業側からすると無償でサンプリングすることができ、生活者からすると定額で支払う額よりも倍ほどの商品を手に入れることができる。

 

三者win-win-winの素晴らしいビジネスモデルだ。

 

コスメだけでなく、ワインやビールと言った飲食や、小説や絵本、アクセサリーにファッションなどもサブスクリプションボックスとして広がってくるのではないか。

セレンディピティが不足した時代の反動で、セレンディピティ・マーケティングが改めて今求められている。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

三児のパパ

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