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コンセプトメイキングだけではなくシナリオメイキングまで必要

総合系広告会社のプランニングがうまくいっていないという広告主側の批判の声を最近よく聞く。

大げさではなく、実際に色々なところで聞こえてきている。

 

広告会社に頼んだけど、きちんとプランできていない・できないので広告主側で引き取る。

または、マスとデジタルを統合して見れるディレクターを外部から連れてきて、広告会社の上にそのディレクターを立てて回す。

 

対応策は様々だが、広告主側の不満が出てきているのは広告会社にとって大きな問題だ。

 

 

大きな要因は、総合系広告会社がテレビ主体のビジネスモデルだったこと。

 

テレビCMでは”珠玉のメッセージ”を伝えるために、最大公約数となるターゲット像を発見し、その群が動くインサイトを発掘し、そこを突いた”コンセプトメイキング”が広告会社の大きな仕事だった。

 

コンセプトを作るのに定性調査や定量調査、データ分析など多くのステップを必要とする。

練りに練りこんだコンセプトがやっとのことで作れたら、テレビCMで届けるというステップに移る。

 

つまり”届ける”とが次の目的となり、如何に”リーチ”させることができるかという視点でメディアプランニングがされる。

 

そして、その考え方が抜けないまま、デジタルでも同じ発想でメディアプランニングしがちだ。

CM動画や尺を変えた動画をYouTubeや動画メディアで”リーチ”させるというプランニングになる。

 

視点は”リーチマックス”のままだ。

 

正直、このテレビ主体の設計は広告会社だけが悪いとも言い切れない。

 

過去、広告主もテレビCMを実施すれば物が売れる時代だったため、今でもテレビCMを真ん中に置いたオリエンテーションをされることがあり、広告会社もそれに合わせて、テレビCMに強いメンバーで固めたチームを組んで対応している。

 

両社”伝えること”を目的に設計を進めてしまい、テレビでもデジタルでも”リーチマックス”思考が取れぬまま全体設計がされてしまうのだ。

 

 

では、逆に広告主に反応の良いプランニングはどのようなものか。

 

”コンセプトメイキング”だけではなく、”コンセプトメイキング”と”シナリオメイキング”の両方が今求められているのではないか。

 

テレビ主体でなくても、統合プランニングの真ん中にはコンセプトが必要となる。

そのため、コンセプトメイキングは変わらず必要な作業だ。

 

ただ、そのあとのフェーズとして”伝える”という”リーチマックス”視点ではなく、どのような”シナリオ”になっているかという”シナリオメイキング”が必要となる。

 

シナリオは、人の動きや心の変化、それに合わせた施策の設計を指す。

シナリオについては、明確な形があるものではない。

 

プロモーション期間を時系列で表した人の動きでもいいし、一人のアイディアルターゲットのプロモーションに接したときの心の動き(大きな時系列ではない)でもいい。

 

例えば、春は「発掘型○○こだわり層」という情報感度の高い層に自分たちが見つけた感を醸成し、ある一定数、感度の高い人を取り込んだ後、夏は「まわりの影響を受けやすい流され層」に対して周りのみんながもっている感を醸成するといったイノベーター理論風のシナリオでもいい。

 

アイディアルターゲットで考えるなら、「どうせ○○カテゴリってどれも一緒」と思っているターゲットが、施策Aに接することで「え?そんな情報聞いたことがない」と危機感をあおらせ、施策Bに接した後に「こんな軸で商品を各社出していたんだ」とモノのことに興味を持たせ、施策Cで「他の商品よりもこの商品はここが優れていて、買うならこの商品だな」と機能で差別化するなど、カスタマージャーニーでシナリオを作っていくのもいい。

 

テレビのチカラが弱くなっている中、強力なリーチ手段が減っている。

デジタルでは、生活者の行動が分散しており、YouTubeやFacebook、Instagramなどメインどころのデジタルメディアを用いても、同額を投じたテレビ以上のリーチは取れない。

 

そのため、”伝える”という手段時代が困難な時代になっている。

また、豊かになったこの時代に、伝えたら売れる商品自体がなかなかでてこないという背景もある。

 

“伝える”ことを目的とせず、人の行動や気持ちがどのようにデザインされているか、それを”シナリオ”として設計されているかが、今広告主が求めるプランニングではないか。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

三児のパパ

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