advertising

美容垢がPRに染まることは裏切り行為 炎上に繋がった化粧品プロモーション

どこもかしこもインフルエンサーを活用した投稿をプロモーション時のマスト施策として実施している。

とくにファッションやコスメはInstagramやTwitterを中心に積極的にインフルエンサー活用をしており、フォロワー数の多い人を一人ウン十万円~ウン百万円で依頼している。

 

業界内のルールとして、一般投稿かPR投稿かをきちんと明記することが求められており、インフルエンサーに依頼した投稿は「○○企業から頂きました」だったり「#PR」を必ず明記している。

そうでなければ、ステマとして生活者をだましていることになり、生活者だけでなく業界もだまっていない

 

ただ、今回の下記化粧品会社はそのルールにのっとって、正しく行われたプロモーションだが炎上してしまった。

もう信用できない。

ひいた。

えぐい。

など、これらの投稿につけられたコメントはかなり厳しい。

そのアカウントをフォローしていたファンからは、

あの方々が、、まさか。

美容垢が絶対にチョイスしなそうな商品。

という声があがった。

新商品やリニューアルのタイミングで複数人のインフルエンサーに一気に投稿してもらうことはよくあることだが、美容垢が一斉に投稿したことが目立ってしまい、企業からの提供ツイートに対して普段以上に嫌悪感を感じさせるものになってしまったようだ。

これは、企業の広告などに染まらない信じられる存在である美容垢が、急に企業の言いなりになったことに対する裏切り行為と捉えられ、その美容垢や提供した企業に対して怒りの矛先が向いてしまった。

 

それが#PRと書かれていようが、生活者側はだまされたと感じたら、全て"ステマ"という判断をしてしまう。

 

デジタル領域の中では、いろいろな”濃い層”が存在する。

美容垢、アニメ垢、地域垢、ゲーム垢、刀垢、アイドル垢、リア垢、…などなど。

 

その"濃い層"は、企業からの情報や影響を受けず、純粋にそのカテゴリのファンで成り立っている。

聖域ともいえる非常に信頼性の高い繋がりだ。

 

そのデジタル領域内のルールの中で、急に美容垢がPRに染まっていくのは純粋なファンなら確かに気持ち悪さを抱いてしまう。

 

企業視点で言うと、自分たちも行いがちで非常に学びのある事例に感じる。

インフルエンサーと呼ばれる1万フォロワー以上を保有するアカウントには企業からの依頼が重なり、A社のコスメを紹介していたのに、その2週間後にはB社のコスメを紹介するということも本当に最近は多い。

 

また、フェイクインフルエンサーという問題も提起されているように、インフルエンサーも自分でフォロワー数を増やすこともできてしまう。

1名数円でフォロワーを増やす企業やサービスも出ており、インフルエンサーは自身への依頼額がフォロワー数によって決まることを知っているため、せこい手を使ってまでフォロワー数を水増しするインフルエンサーも出てきている。

 

そのため、同じような人に依頼が集まり、さらにフェイクインフルエンサーも紛れているとなると"本当に力を持ったパワーインフルエンサー"に依頼をかけたいと思うのは理解できる。

コスメで言えば美容垢に依頼をかけ、そこから拡散させたいと考えたのだが、そこは手を付けてはいけない領域だった。

 

ちなみに、パワーを持っているがそこまでフォロワーの多くないマイクロインフルエンサーも、キャスティング会社が地道にSNSのダイレクトメールから依頼をかけてリスト化している。

どんな領域でもインフルエンサーマーケティングが実現できてしまうしくみが業界では既に整ってしまっている。

 

 

ここまでインフルエンサーマーケティングが広がってしまった今、他社との差別化が本当に難しい。

先人たちの成功事例、失敗事例を学びながら、どこもやっていない新しいやり方を開発していくいかないのだ。

 

 

関連記事

  1. 携帯キャリアCMは複数タレントの道へ
  2. プランニングと経験とホムンクルス
  3. 自販機もデータによるマーケティング高度化の時代に
  4. 5200万回再生を超えるDA PUMPの新曲U.S.A.大ヒット…
  5. モチベーションを引き上げる
  6. “未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?
  7. エモいは正義
  8. 成熟社会こそブランディングが大事

Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

三児のパパ

My Social Media Account

  1. Facebook
  2. Instagram
  3. Twitter
  4. Booklog
  5. RSS

最新記事

PAGE TOP