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最近、クリエーティブに回帰することをよく考える

7/1より博報堂がVIを刷新し、新社長の水島さんより「博報堂はクリエイティビティで未来をつくる」について発表された。

 

同業界の人間として、正直「やられた感」がある。

 

この新しい市場、社会において、博報堂はどうお役に立てるのか。どのような価値を提供していくべきか。その答えは「クリエイティビティ」以外にないと考えています。

クリエイティビティこそが我々の最大の強みであり、今後最も求められる価値だと私は信じて疑いません。これからの博報堂は広告を超えて、クリエイティビティで生活や社会、事業構造の変革に寄与するような新しい価値を提供する会社になっていく。

 

ここ最近の、データドリブン、0次分析、データ連携ソリューションの提案でどこも同じような提案が見られる中で(というか差が作れなくなっている中で)、「やっぱり広告会社はクリエーティブで勝負でしょ!」という、クリエーティブ回帰の提案は、広告会社のプランナーとして目が覚めるようなメッセージに聞こえた。

 

今年のアドバタイジングウィークアジアで、タグボートの岡康道さんもクリエーティブについてこう語っていた。

 

頼りにしているのは全く右側の脳。右側の脳の話は議論できない。いわゆる論理性がないようにみえる。

議論の対象になるものではない。それではプレゼンは通らないので、まったく左の脳で考えたようにプレゼンしている。

タグボートは全く右側でプレゼンしている。

 

また、クリエーターは目立つクリエーティブを作るべきとも語っていた。

 

目立つ広告をつくれ、でなければ効率がわるい。目立つことが、効率がいい。電通のCDになったら自分の案を出す。それより面白くなければプレゼンに出せない。案を出さない人から何かいわれたくないでしょ。じゃあ、おまえ作れと思う。一番厄介なときは、右脳で考えた時にこれは面白いとなって、これをプレゼンしたとき。何かつながりがある、(それは)どこかが本質だから。それを本人は説明できない。僕の役割は左脳でしか理解できないクライアントに、右脳のアイデアを左脳で再整理する。

 

巷の提案では、左脳だ、ロジックだと言っているけど、ビッグデータから砂金のようなビッグアイデアが出ることなんてないっしょ。

 

仮説があってそれを証明しているに過ぎない。

 

その仮説も100あるうちの1個が2個に絞ったに過ぎず、本当は他にもっと良い解があるのかもしれない。

 

優秀なマーケターだったら、なんとなくコッチ!と指した方向性が正しいことはよくあることで、実施前からその広告がうまくいくか、いかないかはわかるんじゃないかな。

 

だからこそ、きっと生活者が面白い!と思う方を全力で考えるべきなんだぜ!

 

みたいなことを言っていたと思う。

 

 

それに、広告会社の存在価値を考えるうえで、最近イケイケのアクセンチュアの存在もある。最近いろいろなカンファレンスで発表が多いためか、存在感がどんどん上がっている。

 

アクセンチュアはここ数年、色々な賞を受賞したり、Googleとのパートナー契約やら、クリエーティブエージェンシーのDroga5の買収による、戦略からエグゼキューションまで一気通貫できる体制など、既存の総合代理店からすると強力な競合相手になっている。

 

総合代理店側のポジショニングトークとしては、老舗の広告会社として他社とは「クリエーティブの質」が違うということを言うことになるのではないか。

 

エグゼキューション力も勿論、経験値が多く差が出る部分かもしれないけど。

 

 

で、一周回って、ここ最近「クリエーティブへの回帰」をよく考える。

 

 

この前、とあるクリエーティブディレクターと会話したとき、こんなことを言っていた。

 

優秀なクリエーティブの人は、感覚的なものだけど、この辺という正解のストライクゾーンがあるとすると、そこにものすごーく遠くのものを当てはめようとしている。はまるかな、と思ってはめてみたり、はまったけどそれでは売れないこともあるんだけど。

 

全然、文脈や脈絡もないものを、課題解決のためのコアアイデアとして当てはめてみて、それがカチっとはまるかを考えているとのこと。

 

いい例として、OPEN MEALSの「SUSHI SINGULARITY TOKYO」がわかりやすい。

 

 

このプロジェクトでは、食を、味、形状、色、触感、密度、…などデータ化し、その人の健康状態に合った寿司を3Dプリンティングで生成し提供するプロジェクト。

 

 

文字だけだとまったくもって意味不明だ。。

 

 

日本の技術力、文化、驚きを、「データから食を再現する」というプロジェクトともに実現しており、食べ物をデータに変換し、それを形を変えて生成し提供したSXSWのデモでは海外含めかなり盛況だった。

 

寿司をデータに置き換え、それを海外に持っていき、3Dプリンターで再現し、提供する。

普通にロジックの積み上げで考えるプランナーには、絶対に考え付かないアイデア。

 

普段から、ものすごく遠くのものを当てはめる訓練をしているから思いつく発想なのかもしれない。

 

左脳も大事だけど、右脳も大事だよなぁと改めて思うこの頃

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

三児のパパ

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