Marketing

購買意欲をくすぐる知識欲とセレクタブル

メーカーの開発者秘話って聞くと「なんでこの話、きちんと広告につかわないのだろう」と思うことが多い。

たまたま見たガイアの夜明けだったり、ビジネス誌での特集だったり、出会う場はさまざまだが、「いや~そんな凄い技術がはいっていたなんて」と目鱗なことがある。

でもほとんどの人はその情報を知らないし、15秒CMの集約されたワンメッセージくらいしか伝えられていない。

 

 

きちんと情報を知って買ったものは、自分なりの納得と購入理由を明確に伝えれるストーリーがある。

クラフトビールブームに次いで和製ジンのブームも、その裏にあるその土地ならではの開発秘話や、素材や工法の違いもそれぞれの個性が表れており、知りながら飲むのは楽しい。

 

「知識欲」というのか。

知っていることで買った商品に対する価値を自分なりに高め、自分なりの納得度を高めるのだろう。

似たような機能、似たようなSNSを使ったコミュニケーションで溢れる商品の中、「○○だから買った」というフラグみたいなものを一つひとつ立てていきたいのかもしれない。

 

また、「セレクタブル」という選択肢の多さも最近では購入には大事な要素だ。

人の集中力が金魚以下と言われるようになってから、人の「飽きる力」はより強くなっている。

 

芸人の消費スピードなんて毎年どんどん早く、短くなっている。

ラッスンゴレライ、ブルゾン、サンシャイン池崎など数か月で消えていく短命な世の中だ。

 

検索すれば簡単に答えが手に入る時代。

ポチればその日のうちにとどくようになった買い物行動。

送れば既読したかリアルタイムにわかるようになったコミュニケーションプラットフォーム。

 

「飽きる」ことに抗わず、1つのブランドから異なる味、色、形状によるアイテムを出すこともブランド内回遊を促し、結果的にリピート購買に繋がっていく。

 

ザ・チョコレートも複数のカラーバリエーションを持たせて、次は赤、次は青と複数購買に繋げている。

メリットピュアンも3つのバリアントを用意し、その時の気持ちに合った商品を選べれる工夫がされている。

 

多様化した今の世の中では、複数選択肢の方が嗜好の網をはりやすいというのもあるが、そのブランドを好きなファン自身も使いながら「この商品に飽きたくない」という気持ちが少なからずあったりする。

 

好きだから関与し過ぎたくない。

好きだからこそ、急に熱して急に飽きたくない。

気に入っているからこそ、ずっと使い続けたいという気持ちがある。

 

セレクタブルな商品となると、開発負荷も高いし、流通の棚取りも苦労すると思われる。

きちんとフェイスがとれるのかと。

上層部は「アイテムごとに顔つきが変わったらブランドのイメージが分散するだろ」と言うかもしれない。

 

でも、一つの商品を長く使いたいというファンのために、飽きないように選べる選択肢を持たせた商品設計も大切。

新規顧客の獲得とリピート顧客の両方を支援するのが「セレクタブル」の特徴だ。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

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