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飲食業もデジタルトランスフォーメーション

食のサブスク29ONを運営するfavy、これまでにない飲食の新しい取り組みを次々と実施していて面白いな。

 

デジタル業界のビジネスモデルや、生活者の働き方の変化をうまく飲食にアジャストさせている。

 

re:Dineは、シェフのためのコワーキングスペースで、新しいことに挑戦したいシェフと応援したい顧客をマッチングさせるイベントを行っている。

 

独立や起業したいシェフは、いきなり店舗を持つことはリスクがあるので、最近だと間借りという形で飲食店を開業するシェフも多いが、re:Dineでは、120席のレストランをシェアできる場を提供することで、他のシェフと刺激を受け合いながら開業の準備ができる。

 

他にも、favyがビジネスの柱としているのが、サブスクの管理ツールを提供することで、飲食ビジネスを支援している。

 

飲食におけるサブスクのメリットは、当然データが得られることが最初に上げられる。

 

普通の飲食店では、誰が何回来店して、何を好んで食べているというデータは取得できないので、だいたいこの曜日はこの飲み物の注文が増え、この季節はこの食べ物が売れやすいという傾向値しかわからないが、サブスクにすることで、会員がいつきたか、割引を使ったかという顧客管理ができるようになる。

 

勘と経験ではなく、データから顧客に合わせた飲食の改善ができる。

 

サブスクの他のメリットは、クロスセルによる顧客単価の向上もある。

 

coffee mafiaでは、月3000円で毎日珈琲が飲み放題だが、来店する顧客の多くが、朝珈琲を注文するのと同時に軽食を購入したり、ランチでの利用を行うことで、クロスセルに貢献している。

 

他には、廃棄コストの削減も。

 

29ONでは、メニューはおまかせコース7000円のみ。

 

コースの時間を予約制にすることで、来店数、来店時間だけでなく、当日必要となる食材を正確に把握できるため、フードロスの問題まで解決される。

 

更に、来店客数の増加も。

 

串カツ田中では、500円のパスを購入すると、400円以下のドリンクが一か月間、何杯飲んでも199円となるため、2か月半で会員数は10万人、来店客数は1.84倍に増加した。

 

同じく、餃子の福しんでは、500円のパスで、1日3回の餃子を無料にすることで、来店客数の増加に繋げている。

 

また、新宿エリアで行っているKANPAI PASSPORTでは、月500円で加盟飲食店での乾杯ドリンクが1杯毎日無料になることで、加盟店への来店客数増加に貢献。

 

 

ソフトウェアのサブスクはうまくいきやすい中で、飲食のコストがかかるサブスクでfavyがうまくいっているのは、何よりも、トライ&エラーができる店舗を持っていることじゃないかな。

 

自社で運営しているcoffee mafia、29ONでサブスクの様々なモデルをトライすることでノウハウが蓄積し、そのノウハウでビジネス支援をするということを行っている。

 

誰もやっていない領域だからこそ、先陣を切ってそのノウハウを蓄積したfavyに相談が舞い込むし、コンサルという二次的なビジネスでも儲けることができる。

 

クラウドファンディングのMakuakeで29ONが永年会員の追加募集したことで、既存客が予約が取れなくなるとのことで批判が増え、返金対応に追われるというトラブルもあったが、その顧客の集め方や対応すらも学びとなっているのではないか。

 

こうみると、他業界で起きているデジタルトランスフォーメーションが、別の業界で活用できたり、新しい需要を生んでおり、いまだに旧来型のビジネスモデルで成り立っている業界が大きく変化する可能性も秘めているともいえるな。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

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