生活者の中でクチコミが増えたり、ネットで広がることと、モノが売れるかはそこまで関係ないのではないか、とこれまで思っていた。
とくに真面目にモノづくりをしている企業であれば、その商品の特性をきちんと正確に生活者に届けることの方が優先度が高く、ポジにもネガにもなり得るノイズを増やしたところで、売上とは関係がないのではと思うことが少なからずあった。
まったく効果ないという意味では無いんだけど。
最近の日清やグリコのような「話題化」をKPIとして設定し、とにかくYahoo!トピックスやLINEニュースに上がるか、広告費換算1億円を超えるかみたいに「話題化」に思いっきり振り切ってコミュニケーションをしているのを見ると、モノの均質化が進む世の中で、「いかに商品のことを絶えず頭の中に思い浮かべさせることができるのか」が大事なのではと思うようになった。
日清はここ最近話題化のニュースが多く、売上も絶好調だ。
魔女の宅急便やアルプスの少女ハイジが現代の女子高生になった世界を描いたカップヌードルのコミュニケーションは、100万回以上もどちらも再生されている。
クチコミでも「続きが見たい」「CMだけなの?」と言った声が多い。
いち生活者として、自分もこの動画、YouTubeで調べて何度も見たくらい好きだ。
10分どん兵衛のおわび文も、10万ツイートもTwitterで拡散され、その後Yahoo!トピックスに掲載され、店頭からどん兵衛が消えるほど売れて、結果前年比150%まで売り上げが伸びた。
渋谷どんばれ屋閉店の際は、ヤカンと閉店のメッセージを置いただけで多くのメディアでも取り上げられ、広告費換算で数千万円にも上った。
商品も話題性に事欠かず、謎肉祭の復活や、売れなかった商品を再販した黒歴史トリオも仕掛け、多くのメディアで取り上げられ売り上げに貢献した。
話題化が売上に繋がるのは、正直商材によるとは思う。
数百円でコンビニで手軽に買えるものは、ちょっとした想起、なんか面白そうな感じが刷り込めれば、手に取ってもらえやすい。
数千円~数万円の商品は、やはり生活者は機能をしっかり吟味して失敗しないように買う。
ただ、話題化が間接的に購入のきっかけや後押しにもなっている。
どれも一緒、もしくはどれを買っていいかわからない時、周りの声を参考に商品を買っている。
特に日本人は長いものにまかれる生き物のため、逃げ恥がヒットして周りが観ていれば流行に取り残されないように観るようになるし、君の名は。がSNSで注目されれば、映画館に足を運ぶようになる。
以前、MUJI passportを作った奥谷孝司さんも、「無印良品の商品購入と次の購入までに期間が空くが、MUJI passportを使って、少しでもその間の期間を埋め、無印の存在を想起させたい」とおっしゃっていた。
ブランドの短期リマインドが売上に貢献するためだ。
自社アプリやコミュニティがなければ、継続的にノイズを起こさせ、ブランド想起を起こさせることが売り上げに繋がっていくのだろう。