マス主体でコミュニケーションをしてきたクライアントに"デジタル会話量"という新指標を用いて改めてデジタルの必要性を説明することが多い。
人によっては「話題化」「バズ」と置き換えて理解されることもあるが、"デジタル会話量"ってとても大事な概念だ。
テレビCMを中心としてきた企業にとって、テレビCMは○○GRPを実施するなど社内においてもわかりやすい指標になっているし、流通商談時にも使いやすい指標だ。
担当者自身の拠り所となっているのもあり、なかなかそこから外れたコミュニケーションはその担当者自身から大きな抵抗を受ける。
デジタルの必要性はとってもわかる。
でも、今回のキャンペーンでもテレビCM出稿額を削減してまで、デジタルには割けない。
数百万円なら。。みたいなことが往々にして起こる。
そのときに使うデジタル会話量という概念とは?
「デジタル内で企業やお客さんがそのブランドのことをどれだけ会話しているか」ということを"デジタル会話量"と定義している。
人は普段、カフェや飲み会、職場などリアルの場で、いろいろな会話をしていると思う。
オリンピックの「だよねー」の掛け声や、俳優の山崎賢人が最近キテるねとか、ニュースを賑やかしている仮想通貨の話など。
それが、デジタルにおいても同じように会話されている話題もあれば、そうでもないものもある。
逆に、リアルよりもデジタルの方で頻繁に会話にあがっているものもある。
今の若い人たちがテレビは見ない、CMはスキップする、スマホで隙間時間を埋めている中、普段からデジタルで会話されているという状況こそが大事になる。
デジタルの中で企業や生活者がそのブランドのことを語り、生活者がデジタル内で複数回ブランドに出会うことで、ザイオンス効果(出会えば出会うほど気になる効果)を得られ、知らぬ間にマインドシェアを奪うことに繋がる。
量じゃない質だ、というヒトもいるが、まずは量からが起点だ。
質のいいコンテンツはタイアップなどでつくれるが、タイアップなんて数百万円かけておよそ2万PVを取得するためにやっている。
質のいいコンテンツだが、量が少なく、ほとんどの生活者が出会わずに消化されていくコンテンツになる。
まずは量を求め、生活者と出会うデジタルの場にどんどん出ていく。
そして徐々に言の葉に乗りやすい切り口やトンマナを理解して、ヒット率を高めていく。
デジタル会話量を計測するために、月額いくらかかるような有料ツールを入れなくても確認できる。
例えば、スタバのさくらフラペチーノのデジタル会話量について。
Googleで商品名を入れて検索する。
検索結果に出てくる「ツール」から「期間を指定」を選択し、該当の日や週、月に絞る。
そして、検索結果に出てくる「すべて」の下のヒット率を確認する。
さくらフラペチーノの場合は「約2,570件」と出てくる。
あとは、競合ブランドや競合商品も同様に検索することで、デジタル内の会話量を簡単に比較できる。
一日単位で数字を拾っていけば細かな推移もわかる。
Googleはネット内の膨大なページをクローリングしてきており、その中から検索キーワードに該当するページを「ヒット率」と言う形で、件数を表示してくれる。
つまり、デジタル内でどれくらいページとして会話されているかがわかる。
日本ではYahoo!とGoogleが二強の検索サービスとなっており、Yahoo!はGoogleの検索エンジンを使っているため、Googleを使えばおよその市場規模がわかる。
競合と10倍もデジタル会話量で差が出ているだったり、今回のキャンペーンでは競合よりも大幅に会話を誘発することができた、ということもわかり、ブランドの健康診断ができる。
Twitterでのデジタル会話量も、無償で把握することができる。
Yahoo!ではリアルタイム検索を提供しており、Twitterの投稿を検索することができる。
Yahoo!で商品名を検索後、上部の「リアルタイム」を選択すればリアルタイム検索に切り替わる。
右下には投稿数の推移も把握することができる。
競合ブランドや競合商品も同じように検索することで、Twitter内での健康診断も可能になるのだ。
一発で終わる打ち上げ花火ではなく、普段からデジタル内での言の葉に乗っているかという、"デジタル会話量"という概念は、今後も重要な指標になる。