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夏に売れる商品を冬でも売る

商品によっては季節を考慮したマーケティング活動が必要になる。

暑い夏の時期に売れる商品を、冬でも売りたい。
寒い冬の時期に売れる商品を、夏でも売りたい。

こんな課題はよくある。

夏には、
ひんやり体が涼しくなる商品や食べ物、
汗やニオイを抑える商品などが売れる。

だが、冬にはそのニーズが低くなるため
売上ががくんと落ちる。

その逆もあり、冬には、
体を温めるような商品や食べ物、
静電気やひび割れなどを抑える商品などが売れる。

だが、夏にはそのニーズが低くなり
冬のように売れなくなる。

特定の季節に売れやすい商品を、他の季節でも売るためには
「限定」「定番」「必要性喚起」の3つのキーワードが重要になる。

まず、「限定」について。

夏に売れる代表商品として、アイスクリームや炭酸飲料、アルコール飲料などがある。

例えば、ガリガリくんは、秋~冬にかけて話題となるような限定味を毎年投入している。
秋~冬に発売されたのが「コーンポタージュ」や「シチュー」「ナポリタン」味だ。

どれもアイスクリームとしては違和感を感じる味。

冬にアイスクリームが食べられない中、
少しでも話題となり手に取ってもらおうという考えだ。

実際発売してみると売れに売れ、
販売3日で生産が追い付かず販売休止となったほどだ。

「食べて見た」「溶かしてシチューにしてみた」「うまい?まずい?」など
怖いもの見たさの生活者のソーシャル文脈にうまく乗り、
SNSやキュレーションメディアで一気に拡散した。

同じく限定味を出して話題化となった商品にペプシコーラがある。

秋~冬にかけて毎年いろいろな味を投入しており
「モンブラン」「あずき」「ミステリー(ハロウィン向け)」味などがある。

コーラとモンブラン?、コーラとあずき?と
普段飲んでいない人も想像できない味に興味を持ち
秋~冬に冷たい炭酸を買って飲んでしまう。

これらのように、
季節限定品を出し、話題化と共に売り上げを上げるものもあれば
季節のイベントに合わせた限定品もある。

今年発売されたビールでは
サッポロ冬物語、アサヒ冬の乾杯、サントリー冬の薫りがある。

冬はパーティなどイベントが増えるため、
そこでの気分を盛り上げるために
ホップのフローラルでスパイシーな香りと、
パーティフードの味に負けない飲みごたえある味わいの商品を投入している。

今しか飲めない冬限定と謳うことで
キンキンに冷えたビールが冬でも売れるようになる。

2つ目のキーワードの「定番」について。

夏に売れるものを、
「これは冬に買うものである」「冬に楽しむものである」と
何度も訴え続けることで定番化させるやり方だ。

冬の定番アイスクリームに雪見だいふくがある。
名前に「雪」が入るアイスクリームであり、冬に売れる名物商品だ。

甘いアイスを柔らかいおもちでくるんでおり
冬におもちがよく食べられることもあり、食後に甘いおもちのデザートとして好まれている。

発売当初は、冬にアイスが売れるなんてと言われていたが
甘いものが好きな女性に受け入れられ定番商品の仲間入りをした。

商品ではなく、プロモーションで「定番」と見せる商品にコカ・コーラがある。

コカ・コーラは、夏とクリスマスに最も売り上げが跳ね上がる。
夏は、暑い季節性も影響してコカ・コーラが食事以外のシーンでも飲まれるのだが
実はクリスマスも非常に売れている。

コカ・コーラは赤いブランドカラーを持ちサンタクロースの服の色と同じだ。
サンタクロースにコカ・コーラを持たせた広告展開を世界中で継続的に行ってきたことで
今ではクリスマスに飲むシンボル飲料となった。

クリスマスに食べるパーティフードやケーキと共に
コカ・コーラを飲めば、ハッピーになれる。

そんなイメージを継続的に刷り込むことで、
コカ・コーラはクリスマス(冬)の定番商品となった。

最後に、3つ目のキーワードの「必要性喚起」について。

これは、その季節に使う/食べることの必要性を訴えていくものだ。

先ほどとは逆に、冬に売れて夏に売れにくいものを取り上げてみる。
夏に売れにくいものとして、例えば鍋がある。

日本では体を温める効果もあるため冬に鍋は食べられるが、
韓国では夏にこそ、鍋が食べられる。

韓国では、
暑い季節に鍋を食べることで、
新陳代謝を促進させ、健康や美肌への効果が期待できるものだと信じられている。

体を温めることも大事だが
健康や美肌など機能性として夏に食べる方がよいとその必要性を喚起し続けたことで
鍋=夏に食べる商品となった。

機能性ではないが、味として必要性を喚起するものもある。
かき氷は夏に食べられるものだが、有名かき氷店では、冬こそかき氷を食べるべきだと訴える。

かき氷の味を左右するのは氷だが
氷の状態が最も良い季節が冬のようだ。

かき氷はゲレンデの雪と同じで空気が乾いて寒い冬のほうが状態が良く、
気温が上がる春から夏にかけて状態が悪くなる。
そのため、おいしいかき氷を食べるには冬が最も良い季節なのだ。

このように、その季節に食べる必要性を機能性や味を通じて
きちんと伝えていくことで売れにくい季節でも売れるようにしていく方法がある。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

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