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尊敬されるプランナーでないとノウハウは伝承されない

広告会社のプランナーという職業は定義が難しい。

 

ブランドを作るためのセッションや、クライアント内の上層部を説得する資料作り、コミュニケーションプランニング、調査設計、プロモーション等のエグゼキューションなど、とにかく色々ある。

 

「何でも屋です」という人も少なくない。

 

新入社員が入ると、いろいろな研修でマーケティングノウハウは座学を通じて学ぶのだが、一番身になるのは当たり前だがOJTだ。

 

良き先輩が上につけば、手取り足取りプランニングノウハウをマスターできるのだが、ヤバい先輩だとずっと雑務だけ押し付けられたり、そもそも全然尊敬できない先輩だったりすると後輩は結構つらい。

 

今では業界では名の知れた自分の同期も、最初に受け持ってもらった先輩に延々論文を読まされ、(それはそれできっと意味はあったのだろうが)プランニングについての具体的なノウハウ共有が無く、数か月で早々に腐りかけていたということもあった。

 

そして数年たつと、その先輩や周りの人たちから学んだ宗派で彼らはプランニングをするようになる。

 

プランニングは人の意思であり、そして宗教のようなものだ。

 

正解はない。

どれも正解かもしれないし、どれも不正解かもしれない。

 

人によって課題の解き方が異なり、それは宗派と呼ばれる。

 

ある程度年齢がいった人同士は、およそ交わらない自らの宗派で議論を戦わせることが度々ある。

あの人とは宗派が違うからしょうがない、という声も本当に良く聞く。

 

そしてある程度の年齢になってから行き着く考えは、こうした宗派に分かれるのはよいのだが、もっと効率的にマスターできるノウハウは無いのか、ということだ。

 

以前ホリエモンが、「寿司職人が何年も修行するのはバカ」ということを発言し炎上していたが、過激な言い方は置いといて、本質について個人的には結構共感している。

 

一昔前のように、目で盗み、何年もかけてマスターする時代ではない。

生活者もメディアも変化が激しく、昨日まで正解だったことが、明日には通用せず、あっという間に不正解になるような時代だ。

 

そんな時代では、いつまでたっても目で盗んでいては、マスターできない。

伝承可能なノウハウは明文化し、即座に後輩に伝えていくべきだ。

 

ただ、ここでもう一つのハードルが発生する。

 

尊敬されるプランナーでないとノウハウは伝承されない、ということだ。

 

現場での成功体験のない人が作ったノウハウは、信頼性が乏しく参考にされない。

現場を回していない人が作ったノウハウは、頭でっかちで現場の賛同を得られない。

 

人から人へ伝承されるものは、やはり尊敬されるプランナーが作った成功例のみだ。

 

現場を回しながら、伝承可能なステップやスキームへと落とし込み、それを周りの人に伝えていく作業を並行して行わなくてはならない。

 

それはフレームかもしれないし、過程かもしれない。

 

ただ、うまくいっている=活躍しているプランナーほど忙しく、なかなかそのノウハウを明文化し伝承する時間も余裕もないのが現実だったりする。

これが正解なのだ、ということを今現在、声高らかに言えるプランナーって日本や世界でどれくらいいるのだろうか。

 

最近これまでのコミュニケーションプランニングではなかなか通用しなくなっているのを周りで見て、いよいよノウハウのことをきちんと考えないといけないなと感じる。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

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