Insight

ターゲットは国民全員、オールターゲットのブランドの解き方

これまで、ご担当させていただくブランドで、オールターゲットというのが殆どなかったのだが、昨年、オールターゲットのブランドをプランニングすることになり、苦戦した。

 

シンプルに、自分がオールターゲットのプランニングが苦手というのがある。

 

普通、プランニングでは、市場をセグメントして、特定の有望群をターゲットとして絞り、そこからインサイトを導き出す。

 

でも、オールターゲットになった瞬間、国民全員を相手にどうやって買ってもらうかを考えないといけなくなる。

 

難しいのは、インサイトがシャープに出せないところ。

 

ターゲットは絞れば絞るほど、濃いN=1に近づくのでインサイトがシャープになる。

 

インサイトがシャープになれば、プロポジション(提供価値)もシャープになり、アイデアジャンプがしやすい。

 

でも、ターゲットを緩くするとインサイトがボケるので、プロポジションもボケて、アイデアジャンプがしづらくなる。

 

なので、自分は、オールターゲットは嫌いだが、ブランドの姿勢とか、クリエーティブ側の落としどころが先に決まるなどで、避けられないことがある。

 

オールターゲットのブランドの解き方は3つ。

 

1つ目、合計でオールターゲットにする

 

市場をいくつかにセグメントして、それらセグメントごとにプランニングする。

 

各セグメントを足すと、オールターゲットになるという考え。

 

ただし、AE作業ではよいが、競合プレでは、セグメントごとにシナリオを提示しないといけないので、複雑に見え、短時間で理解を促すのは難しい。

 

結局、いくつかのセグメントを束ねて、シナリオを少なく見せるテクニックが必要になる。

 

2つ目、コアターゲットを定める

 

戦略的に狙うべき、コアターゲットをあえて規定し、そこのインサイトをシャープに導く。

 

そして、そのインサイトがオールターゲットにも当てはまり、時系列でみても、国民全員がそのインサイトに染まっていく、という考えでプランニングする。

 

オールターゲットと構えるブランドに対して、どこまで納得度の高いコアターゲットを定められるかが肝。

 

とはいえ、Z世代とかミレニアル世代など、多くのクライアントが重視する層をコアターゲットに定めると、納得されやすい。

 

3つ目、ターゲットを一切出さない

 

ターゲットは国民全員になるから、あえて、プランニングでフォーカスするところをブランド・製品のみにグッとしぼる。

 

ターゲットが誰か、インサイトは何かをプランニングの起点にせず、製品の強み・ユニークさを起点に、どうやって打ち出したらその強みが市場で際立つかをプランニングする。

 

某グローバルブランドでは、プランニングで、ターゲットの話が一切出てこないので、驚いたことがある。

 

特に、革新的な技術を生み出すブランドは、ターゲットのインサイトを刺すマーケットインのプランニングをしなくとも、プロダクトアウトなプランニングでも成立するので向いている。

 

オールターゲット、国民全員を狙うときに、解き方を知ってないと、ボケボケのインサイトや普遍的な価値を定めることになり、「それって他のブランドでも言えますよね」と言われることにもなる。

関連記事

  1. 広告で要潤(かなめじゅん)がイジられまくっている
  2. あらゆるカテゴリでポップアップストアが出てきている
  3. コモディティ化した市場で体験価値をプロポジションにする
  4. データヘルスケアの発展に伴い、ライフログアナリストの登場
  5. ビューティ系商材における、デジタルとマスを活用した大手の逆襲
  6. ファンマーケティングが企業になかなか浸透し辛い理由
  7. ミレニアル世代の価値観
  8. クラウドファンディングを使うマーケティングメリット

Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

三児のパパ

My Social Media Account

  1. Facebook
  2. Instagram
  3. Twitter
  4. Booklog
  5. RSS

最新記事

PAGE TOP