最近のターゲット設定で、三角形を3-4個横に並べた提案フォーマットが、自社他社含めてよく見るトレンドだ。
声優ファン層、動画ファン層、価格コンシャス層、アンチマス層といった、特定のカタマリを事前に特定し、そのボリュームを把握したうえで、それぞれのファネルを設計するものだ。
ファネルが三角形なので、3-4個の三角形が横並びに書かれたページになる。
いわゆる0次分析。
この濃い特定のカタマリをスモールマスやトライブと言ったりするが、カタマリを延々追い求めていく流れからまた揺り戻しか、それらを再度束ねてミドルマス化するコミュニケーションも散見されるようになった。
カゴメのGO!ME.進め、いけ。キャンペーンもそうで、若年層の多様化した価値観ごとに小さなカタマリをつくり、それらをミドルマスに固め、面でとらえたうえでアプローチする手法だ。
以前、キシリトールがCOME ON!ENERGY!キャンペーンでやった手法に近い。
羽生結弦から、土屋太鳳、小松菜奈、。ヤバイTシャツ屋さんまで、色々なトライブリーダーを束ねたワイガヤコミュニケーション。
アスリート、女優、アーティストなど、複数の軸があるから入り口が多く、異なる新規顧客を獲得できるという設計。
大きなコミュニケーションで言えば、ドコモの星プロシリーズも同じ。
リアル、デジタル、アニメなど異なる価値観のファン層に複合的に接点を持てるように設計。
リアルのキャラクターがデジタル上のプロモーションに参加したり、アニメがリアルのポップアップショップになって展開されたりと、次元を超えた登場の仕方を行う。
デジタル広告でよくある、何度も見るとうざいリターゲティングは、同じ媒体で同じクリエーティブが複数回あたることで発生するが、それとは違ってコンセプトは同じだが、異なる次元、異なる表現のキャラクターなどが重層的な接し方をすることで、流行感をつくったり、興味喚起に繋げている。
スモールマスからミドルマスへの流れ、映画アベンジャーズ エンドゲームも同じような考えだ。
アイアンマン、キャプテンアメリカ、ハルクにロケットと一人一人のキャラクターをスモールマスととらえると、エンドゲームでそれらを固めた面の作品なので、各キャラクターごとのファンを呼び寄せることにもつながり、結果、世界興行収入2位という好成績につながった。
スモールなカタマリを狙う競争から、それらをミドルに固めて面で狙う戦いも出てきているが、どちらにしても、もうマスという言葉が死んだことを意味している。
テレビが若い世代に見られなくなり、雑誌は読まれなくなり、新聞も購読されなくなった。
デジタルは伸びているが、一つ一つは細かく細分化されており、いまやマスメディア自体が存在しないわけで、分散したターゲットを個(スモールやトライブ)で狙うか、束ねて面(ミドル)で狙うかの違いだ。