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自販機もデータによるマーケティング高度化の時代に

日本には自販機は約500万台あり、約4兆9千億円ほどの売上を誇る。

日本コカ・コーラでは、すべてのチャネルの中で最も売り上げが大きいのが自販機だ。

コンビニやスーパーよりも自販機の方が売り上げが大きく、良い立地に設置し、売れる飲料を置き続けることがビジネスでは大切な要素だった。

 

今では、自販機も色々な種類が出ており、善光寺にはお守りの自販機もあるし、アメリカではiPodが販売されている自販機もある。

名刺や洗車用品、灯油やゴールドなんてのも自販機で売っており、缶のサイズに入るものはおよそ売られるようになっているのではないか。

15年にJTが飲料事業から撤退し、JTの自販機子会社ジャパンビバレッジホールディングスの争奪戦に、サントリーが日本コカ・コーラに勝利し、自販機の市場構造がまた変わったのも記憶に新しい。

 

そこから、今、日本コカ・コーラとサントリーは、良い立地に設置し、売れる飲料を置き続ける、というビジネスモデルに、データを活用という、マーケティング高度化の時代に突入した。

 

日本コカ・コーラは16年春に「Coke ON」というスマホアプリをリリースしている。

日本コカ・コーラの自販機で飲料を購入するとスタンプが貯まり、15個貯まると好きな製品と交換ができる。

無料お試しチケットやキャンペーンの参加、ギフトを友人にあげたり、Spotifyの楽曲を聴けたりできる。

 

ただ飲料を売るのだけではなく、付加価値を付けたサービスを展開するようになった。

その代わりに、日本コカ・コーラは、誰がどのタイミングでどの飲料を飲むのかデータを取得できるようになった。

 

これまでの売上データだけではなく、人が見えるようになったことで、自販機やスマホでの飲料の売り方が変わり始める。

都会で働く30代男性が朝昼晩どのような飲用行動をとっているか、珈琲のヘビーラバーがどのようにライトから成長したか、ということも見えるようになる。

自販機での購買頻度が減っている人にはポイントやクーポンの配布も可能だし、缶からペットボトルに単価を上げるためのプロモーションを特定のターゲット限定で実施することも可能だ。

 

これは大きなビジネスの変化と言える。

コカ・コーラパークが終了し、スマホ・アプリ中心にライフスタイルが変化した生活者に適応し、新しい繋がり方をし始めたという視点でも興味深い。

 

対してサントリーは、GREEN+という新しいサービスを16年秋から始めた。

「健康経営」を掲げるサントリーの「社員の健康増進意欲をいかに向上させるか」という課題を解決するべく、GREEN+は、社員にとって身近なオフィス・事業所内自販機に着目したポイントサービスだ。

オフィス・事業所内の専用自販機でサントリーの飲料を購入すると、スマホのアプリにポイントが貯まる。

また、規定の歩数以上歩くことでもアプリ内にポイントが貯まり、貯まったポイントでサントリーのトクホ飲料に交換することができる。

 

日本コカ・コーラとサントリーはやっていることは近い。

飲料に付加価値を提供し、その見返りに生活者のデータを取得し、マーケティング活用するようになった。

 

日本コカ・コーラはエンタメコンテンツの提供で顧客と繋がり、サントリーは健康支援で顧客と繋がっている。

 

この自販機のビジネスのあり方が変化するのをみて、数年前から、データ、データと皆口々に言っていたが、広告の現場でも徐々にその波が”実感”できるようになってきたのを思い出した。

 

データを取得する。

分析する。

マーケティングに活用する。

この流れが、少しずつ回り始めているのを感じる。

 

数年前までのように一部の部署だけがやっている、一部のデジタルに長けた人がやっている、という状況から抜けて、デフォルトでデータを取得し、分析し、マーケティングに活用するという流れをきちんと取り入れて、回り出すブランドが身の回りで増えてきた。

 

人が増え、ツールが増え、ソリューションが増えたことで、ある一定のキャズムを超えたのだろうか。

あらゆるものがデータ化されていく時代。

 

いよいよデータ分析の標準化が広告会社にも必要になってきた。

プランナーは今こそデータを恐れずディープダイブしていかなくてはならない。

それができなければ、広告主の方がどんどん経験もスキルも貯まり、追いつけない状況に来てしまうだろう。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

三児のパパ

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