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共創と競争

最近、広告会社も事業を持つことが増えた。

サイバーはゲームにアプリにメディアにと、広告事業以外に自分たちでも事業を沢山行っていることは有名だが、うちも事業を立ち上げたり、クライアントと合弁会社を行い、事業を担うということも増えてきた。

 

我々は、もはや広告会社ではない。という記事でNewsPicksに掲載されているように、マーケティング領域の拡大に伴い、広告会社のサポートする事業領域も変わっていること、収益の多角化を目指していることが背景にある。

 

社内で、事業創造の研修もあるのだが、そこで講師が言っていたのが、事業会社で事業創造の研修をすると「自社で完結するアイデア」が沢山出る。

一方で、広告会社で事業創造の研修をすると「他社と協業するアイデア」が沢山出ると。

 

普段から、色々な企業を巻き込みながら業務をする広告会社特有の働き方が、「他社と協業するアイデア」が出やすいということだろう。

 

そういえば、最近、事業会社も競合同士が協業する事例が増えている。

 

競合とバッティングしない領域で共創しつつ、無駄なリソースを削減し、別の領域で競争する。

共創と競争。

 

最近だと、オープンイノベーションという言葉で説明されることも多い。

 

KDDIが楽天と業務提携して、自社の通信設備を貸し出したり、ソフトバンクと5G JAPANという合弁企業を立ち上げて、5Gネットワークの基地局整備を進めている。

新たに基地局をそれぞれの企業が作る無駄をやめ、半分のコストでインフラを整備し、その分を5Gの新しい領域に投資する。

 

AppleのiPhoneにスーパー・レティーナ・ディスプレーを供給するサムスンも同じ。

サムスンは、スマホを販売するメーカーであり、サプライヤーでもある。

 

Yahoo!がMicrosoftと協業し、Bingの検索・広告表示サービスを受けることもそう。

独自の検索技術の向上を突き進むのもあるが、そこにリソースを割かず、コンテンツ等他の領域でリソースを割く。

 

ただ、失敗例もある。

 

シャープ・NEC・ホシデン・東芝・日立・松下など液晶パネルを供給する日系企業が台湾企業との協業は、最終的に自社の競争優位を損なう結果につながった。

1995年くらいからサムスンやLGグループなど韓国企業が液晶パネルでシェアを急激に拡大した際、日系企業はコスト競争力を持つため、台湾企業を下請けにして製造コストを下げようとしたけど、台湾企業は日系企業の秘伝の技術を習得し、2000年くらいから台湾企業のシェアが急拡大している。

 

いまだと、日系企業:台湾企業:韓国企業=1:2:2くらいの世界市場シェアにまでなってしまっている。

どこまでを共創し、どこからを競争する領域かの線引きを長い目でみないと痛い目を見るという例なんだろうな。

 

昨日の敵は今日の友であり、今日の友が明日の敵にもなりえる。

仲良く喧嘩する、を前提にこれからはビジネスを考えないといけないんだな。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

三児のパパ

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