企業にチャレンジはつきものだが、それと引き換えに、蓄積してきたブランドアセットを壊してしまい、原点回帰をとる企業は多い。
だからこそブランドパーパスが昨今話題になっており、広告会社にもブランドパーパスの設定についての相談が増えている。
原点回帰する企業に多いのが、3つの要因。
本質的価値が伝わっていない
生活者に散々伝えてきたから、もう伝わっていると思ったが、意外とまだ伝わってなかったというもの。
丸亀製麺が良い例。
丸亀製麺の強みは、店内製麺であり、どの店舗でも店員が粉から麺を作り、鮮度の高い麺を提供している。
丸亀製麺のファンには当たり前のことかもしれないが、まだ行ったことのない生活者にとっては、他のうどん屋との違いが実は伝わっていなかった。
ここ1-2年のコミュニケーションでは、改めて店内製麺という独自の強みを活かして訴求している。
本質的価値からの接点が少ない
よくやりがちなのが、ブランドの弱みを補強し、バランスの良いブランドを作ろうとしてしまうこと。
本来、ブランドのファンは、ブランドが持つ強みに惹かれて使い続けているが、弱みを補強することに注力したことで、既存のファンが離れてしまうことだ。
ケンタッキーが良い例。
ケンタッキーは6年前、新客獲得のために、強みであるチキンは使わず、ハンバーグやサーモンを使ったメニューを次々と開発。
最初は目新しさに顧客が飛びついたが、数か月で顧客は離れ、既存の顧客までも減少してしまった。
背景に、ケンタッキーの売り場と開発担当の意思のズレが発生。
売れない商品を売るなという声と、ガンガン売ってくれという声で社内は混乱。
普段売っているチキンのオペレーションが煩雑になり、チキンの味が落ちたと生活者からのクレームが増えてしまったのもこの時期。
強みの鶏との接点がより強い商品やサービスを開発すべきだった。
最後が、
生活者の価値感の変化に伴い インサイトを捉え違うこと
多いのがこのインサイトの捉え違えではないか。
生活者をしっかり見ているが、表面的なものや社会変化に目がいき、捉えるべきではないインサイトを注視してしまうためではないか。
LEGOが良い例。
子どもたちの取り巻く環境が変化し、テレビやゲーム、スマホ、アウトドアなど遊ぶものが多岐にわたり、それに対応しようと、LEGOは、テレビゲームや、テレビ番組、テーマパークなど、玩具以外の様々なエンタメ事業に注力したが、結果大幅赤字。
そもそもLEGOは、子どもの成長を助けることが、存在意義であると気づき、ブロック玩具の商品開発に改めて注力することでV字回復。
企業のチャレンジは大切。
失敗したときに、原点回帰すればよい。
ただ、間違ったときにすぐに原点回帰すべき場所がないのは問題なので、改めてブランドパーパスの設計が必要なんだろうな。