テレビCMで、何か悩みを持っている人に情報を伝えると、「この商品なら悩みを解決できそうだ!」と思ってくれることはあるんだけど、そもそも悩みに気付いていない人には、(自分とは全然関係ない情報だな…)と思い、流されてしまうことも多い。
顕在層は聞く耳を持つけど、潜在層は聞く耳を持っていないという問題。
その潜在層に悩みを自覚させるための、行動喚起型テレビCMという考え方もある。
テレビCMで、ある行動を促し悩みを意識させることで、潜在層から顕在層に引き上げるものを行動喚起型テレビCMと定義。
エリクシール つや玉
鏡を見て、頬の高い部分につや玉ができている=美しい健康的な肌かを確認し、できていなければエリクシールが必要であると思わせるコミュニケーション。
全アイテムで共通して「つや玉」というキーワードを使いブランド資産を蓄積。
つや玉は、肌のハリや潤いの印であり、どこでも簡単に試すことができるポーズだ。
ハリやキレイ、○○肌など、他の商品と類似した言葉で訴求するよりも、エリクシール独自の言葉で蓄積したほうが、競合商品の価値競争に乗らない強さがある。
新しい言葉は、蓄積と浸透に最低2年はかかると思うが、継続できれば強い武器になる。
専科の化粧水のテレビCMで、頬を指で押して「できた!うるおいリング」と呼ぶのも同じ仕組みだ。
アリナミンEX PLUS ストレッチ
「疲れてますよね」「あなた肩こってますよね?」と言われても、(いつものCMだなぁ)とスルーしがちだが、「このポーズできますか?」と訴求されると、「このポーズは無理だな、、肩こってるかも」と思ってしまう。
CMを観ながら手軽にできるポーズなので、肩こりでなくても、体が堅い人も共感しやすい。
これまで、この類の商品は、目・肩・腰の疲労に効くという、接種後の効果についてフォーカスした訴求が多かったが、その手前の”気づき”の部分にうまくフォーカスしたところがポイント。
えんきん 本を読む距離
発売当初から一貫してわかりやすいCM。
読書を楽しんでいる若者と、手元から少し離して読書をしているおじさんの掛け合い。
どの距離で普段本を読んでいるか自分ごと化しやすいポーズ。
手を目いっぱい伸ばして読書をしていたら、えんきんが必要なサインです、という意図だ。
テレビの前で(自分はこのくらいの距離だな)とつい試してみてしまう。
これら3つに言えるのが、テレビCMの中に問題を意識するポーズを入れていること。
ポーズを真似したときに、商品の必要性を認識し、潜在層から顕在層にひきあがる。
ポーズに名称を付けて、蓄積する資産に変えていくのも大切。
ポーズで言うと、ジェルボールもそうだ。
指の間にジェルボールを挟んで、洗濯機にポンと投げ込むテレビCMも、「私、計量カップで測って入れているけど、それって面倒かも」と思わせることにも繋がる。
JOYのコップや皿を「キュキュッ」とこする音も、ジングル的な役割にもなるし、キュキュッと鳴らないと、「上手く洗えていないのでは」と思わせる効果にもなる。
ポーズ→悩み意識→潜在から顕在へ引き上げ→商品の必要性意識、という行動関係型のCMは、お悩み系の商品に向いている。