Digital

デジタル時代のそれぞれのメディアの役割

テレビCMとデジタルでの訴求内容を連動させることは、認知や興味喚起させるには適した手法だ。

ただ、テレビCMのリーチが減り続けている中、最近はきちんとテレビCMとデジタルの「役割」を明確にわけて、全体で設計しているコミュニケーションも増えている。

 

板野友美を起用したKIREIMOのCMでは、おかしな衣装、おかしなダンスとともに、ひたすらブランド名しか言っていない。

KIREIMOが何者か、何をしてくれるサービスなのか、何一つ言わない。

初めてこのCMを見た時、逆にすごい気になった。

 

これも、Wスクリーン、Tスクリーンが進む現在、知りたいことは検索して当たり前になっているので、短尺のCMではブランド名をとにかく刷り込む。

そのうえで、気になる人は検索して情報理解をしてもらおうという設計だ。

 

ビオレのパーフェクトオイルのメイクをもっと楽しもう!というCMも似たような設計となっている。

メイクの楽しさをこれまでのビオレにないトンマナで訴求している。

 

若年層の嗜好に合わせ、音楽やテンポ、ビビッドなメイクや多様性を感じる複数のタイプの人のカットを使用。

ターゲットに興味を持ってもらえなければ、自分ごと化されないただのノイズで終わってしまうので、まずはターゲットの琴線に触れるような彼女たちのトンマナでブランドを刷り込む。

 

そこには商品の機能や特徴は一切出てこない、これまでのビオレらしくない新しいアプローチ。

知りたければデジタルで調べさせるという、明確にメディアの役割を決めて設計されている。

 

また、味の素が行ったWスポンサー、Tスポンサー動画広告も今の時代を捉えたアプローチで興味深い。

 

テレビCMでは、スポンサーが原則1社だ。

ただ、デジタルではそのようなルールが明確に決まっているわけではないので、味の素と流通とビール会社といった、WスポンサーやTスポンサーで広告配信をしている。

 

このアプローチは、味の素が流通交渉を後押しする役割をデジタル広告に担わしている。

流通のロゴを出して、流通独自の広告を制作し、そのエリアで配信することで、流通への誘導を促している。

さらに流通内でのビールの併売を狙うなども考えられている。

 

全メディアで同じ訴求、同じ切り口といった連動感ももちろん大事だが、デジタル時代で生活者の行動が大きく変わった今、それぞれのメディアに「役割」を持たせ、総合的にコミュニケーションを設計できる人材が求められているのではないか。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

三児のパパ

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