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顧客を習慣化させるには

如何に商品を継続して使ってもらうか、買ってもらうことを習慣化してもらうか、という問いを考えると、行動経済学の分野にいってしまう。

 

Harvard Business Review18年3月号で「顧客の習慣のつくり方」の特集がされており、それを読んで思ったこと。

 

 

スマホやPC、アプリなど現代のビジネスがあまりにもめまぐるしく変化するため、多くの企業がどんな競争優位も持続できない。

 

ビジネスモデルも、企業が立てた戦略も、生活者とのコミュニケーションも“リアルタイム”に対応しなければならない状況になっている。

 

例えるなら、動き続ける標的に狙いを定めるようなもので、常に追いかけ続けないといけないし、動き続ける顧客の半歩前を狙わないといけないため、非常に難易度が高い。

 

すごい時代になったと改めて思う。

 

「買う」という行動は、製品やサービスのロイヤルティよりも、「習慣と買いやすさ」のほうが影響を与えているようだ。

 

行動経済学の視点では、顧客の”無意識”が大半の決定プロセスを支配しており、なるべく簡単に、早く、そして楽に選択をできる状況を作ることが、買うという行動に繋がりやすい。

 

人の心は怠け者であり、何かを選択することにストレスを感じ、同じものを選択する方が楽なのだ。

 

脳は、何かを分析し判断する装置ではなく、過去の経験をもとに欠落した部分を埋める=何かと何かの隙間を埋める装置であり、このプロセスの産物が直感(深い考えなしに行動に結びつくほどの強い思い)である。

 

隙間が埋まる速度や抵抗なく埋まるプロセス自体も直感に影響を与え、更にそのプロセスは隙間を埋める経験を重ねるほど高まるようだ。

 

同じことを繰り返すことで、対象を見分けやすくなって、注意力も必要ではなくなり、速く正確に把握できるようになる。

 

何かを選択する=新しい刺激を得ることは心を不安にさせ、同じものを選ぶ=習慣化する方が心を安定させる。

 

そしてこの習慣が作ってくれるのが、累積的優位性。

 

累積的優位は、自社の製品やサービスを顧客がいつも本能的に快適さを感じて選択してしまうような、当初の競争優位の上に築かれる層のことだ。

 

累積的優位が高い商品の方が選ばれやすく、市場のシェアを奪うことに繋がる。

 

なんか難しくなってきたが、一歩引くと、考えずに買わせるまでブランドを持っていくことが大事だ、と当たり前のことを言っている。

 

で、この累積的優位を高めるには、3つある。

 

1つが、早期に人気を獲得すること。

 

新カテゴリであれば、どの企業よりも先んじてマーケティング費を投下し、市場のトップを狙いに行く。

生活者は、市場で1番の商品を選択しやすく、1位と2位の差がより広がるようになる。

 

既に販売されている商品であれば、使用開始ターゲットを狙いに行く。

 

社会人になってから買われやすい商品であれば、大学卒業前後を狙い、早期にブランド認知及び人気を取りに行く。

 

2つ目が、習慣付けを仕込むこと。

 

継続購入のために、ポイントプログラムやポイントラリー、サブスクリプションサービスの導入で選択するということのストレスを減らす。

 

2年前にユニリーバが、サブスクリプション型のひげそりを販売しているダラーシェーブ・クラブを買収したが、うまく習慣化できている企業を買うというショートカットアプローチも有る。

 

3つ目が、ブランド内でイノベーションを起こすこと。

 

他社が新しいサービスや商品を投下したときに、新しいブランドを立ち上げて商品を売るのも手だが、P&Gの洗剤タイドが、漂白剤を洗剤に入れる方法を見つけるとタイド・プラスを発売し、冷水でも使える洗剤ができるとタイド・コールドウォーターとして発売、3つの機能を1つに濃縮したタイド・ポッズを販売するなど、ブランドで踏襲すべきものは次のブランドに引き継がせる形をとっている。

 

キリンビールも基本的に新味を出すときはキリンマークだったり、デザインの一部を踏襲して販売している。

 

新しいチャレンジはブランドに必要な部分を残しながらやるべきだ。

 

「習慣化」のために、企業側でできることは仕組みとして取り入れていかないといけないな。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

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