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家庭用音声AIアシスタントによって生活者の購買行動が変わる

Amazon Echo、Google Home、Essential Home、…と次々と家庭用音声AIアシスタントが出てきており、我々の生活が大きく変わりつつある。

 

スマホが到来したときよりも、広告会社にとって更に恐ろしいことになりそうだ。

 

広告会社が良く使うフレームに、AIDMA、AISASがある。

 

Aは、Attentionのことで、広告で注意をひき商品の認知を促すということが前提となっている。

 

そのため、広告会社はマスを使って、多くの人に何度も商品のことを刷り込み、店頭で商品を想起してもらい、購買に繋げてきた。

 

 

これから、AIアシスタントがでることによって、この認知させるという大事な指標が、購買行動において抜け落ちてしまう危険性がある。

 

AIアシスタントがスマホ並みに一般家庭に普及し、当たり前に生活の一部になったときを想像してみる。

 

例えば、家庭で飲む飲料が切れた時、AIアシスタントに対して、「一番安いお水を明日届けて」だったり、「いつも飲むサントリーのお水を1箱購入して」と依頼するだろう。

 

前者で言えば、商品名はそこには無い。

 

もはやそれは調達購買であり、欲しい商品カテゴリを伝えるだけになる。

あとは、EC側で最も価格が安くて指定した日に届く商品が選定され配送されることになる。

 

後者で言えば、普段から購入している商品のリピート購買だ。

 

音声での購買行動は、スマホのような画面がないため、競合他社商品と悩むということが無くなる。

 

競合他社からすると、ブランドシフトさせるチャンスが大幅に減り、AIアシスタントが普及するまでに、いかにロイヤル顧客にさせているかで勝負が決まってしまう。

 

これはいわゆる、セレンディピティの無い購買行動へとシフトすることになる。

 

そして、これらの購買行動の変化によって、企業が次に行うのは、企業単位でのロイヤル化だ。

 

同じ商品を何度も買い続けることになれば、新しい商品には出会いにくい。

そのため、商品配送時に、更にこんな商品もありますと無償でサンプルを配布し、本品の引き上げを狙っていくことで、芋づるで顧客のお財布内シェアを増やしていくことになるだろう。

 

化粧品で言えば、何がなんでも資生堂で揃えたい資生堂ラバーみたいな層が存在するが、そんなイメージで、その企業が持つ商品でお財布内シェアを奪ってしまおうという行動に移るだろう。

そうなると、ますます競合が入り込む余地はなくなる。

 

企業単位での顧客の囲い込みがより加速し、複数の商品を保有しているブランドほど有利な戦いになっていく。

 

家庭用音声AIアシスタントが出てくることは、我々の生活が便利で豊かになるが、スマホが到来したとき以上に、大きく購買行動が変わり、広告会社のコミュニケーション設計が難しくなることが予想される。

 

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

三児のパパ

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