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広告会社 中堅社員の17年振り返り

年末になるとFacebookでは、その年の振り返りと新年の抱負を語る投稿が増える。

今年もこれでもかと投稿が多かった。

それだけSNSでもビジネスのつながりが多いということか。

 

仕事でも要所要所で必要になった時に軌道修正しながら進むタイプのため、個人的にはそういう振り返りをあまりしたことがなかった。

来年の豊富、みたいなこともやったことがなく、いつも目の前の仕事を全力でやるだけだった。

 

気付けば30歳を超えて、若手から中堅社員に。

きちんと文字に落とし、それを後で振り返ることで、進んでいる方向が正しいか走りながら確認できるのではないかと改めて思ったので書いてみる。

 

17年を通じて色々と学んだこと、わかっていたけど改めて大切だと感じたこと。

また、このままの考えだと危ないなと感じた反省も交えて、ごちゃまぜだけど。

 

 

良い商品はそのまま伝えれば売れるという傲慢な姿勢は避ける

モノづくりの会社こそ、自社の商品愛と機能に対する強い自信があるため、よい商品はそのまま言えば伝わると思いがち。

それは開発者だけでなく、マーケターもクリエーターも同じこと。

でも、そもそも広告なんて伝わりづらいメディア環境と、商品が多すぎる世の中で、いい商品がそのままストレートに伝わって買われるなんて考えこそが傲慢。

そもそも伝わらないというところからスタートして考えないと、広告も滑って無風で終わる。

 

 

ターゲットの設定、インサイトの深掘りが全ての起点であり最も重要

誰を狙うのか。広告会社からすると、広告主とできる限り早く握りに行きたいパート。

それは、戦略、戦術、制作物などすべてに通じることだから。

でも、ターゲット及びインサイトの深掘りを飛ばしてエイヤで決めてしまうと、切れ味のわるいテーマと大ゴケする未来が待っている。

例えば、他社よりも肌触りの良いシャツを作った企業があるとして、ターゲットを「肌触りの悪いシャツにいま不満を持っている人」みたいに設定してしまうと、機能ゴリ押し戦略に進まざるを得ない。

何故、肌触りの良い商品を求めているのか、今着ているシャツはどういう視点で買っているのか、そのシャツはどんな時に着るのか、また、企業側が何故その商品を開発したのかなどまで、深く深く掘り進めて、その中で、今回のコミュニケーションターゲットをどこにするのか、そのインサイトは何かを決定しないと、前述の伝えればOKみたいな戦略で終わってしまう。

調査や各種データ、人の声を集めながら、誰を狙うかをしっかり時間をかけてやる必要がある。

 

 

分析よりもプランニングの比重を倍以上にする

全ての分析はプランニングのためにある。

分析で終わってしまっては、「ふ~ん、そんなこともわかるんだ」で終わってしまい、次に何も活かされない”ただのいい人”どまりだ。

何を提案するのか、次に何をすべきか、というプランニングの部分を人一倍頭を悩ますべきだ。

分析に長けた人ほど、高度な分析をやることで満足してしまい、結局クライアントの内部資料に何も使われず、その人だけがやった感を得て終わる。

逆に言うと、プランニングがきちんとできておれば、分析も多少エイヤな部分があっても良いと思っている。

100%積み上げ型のプランニングは有り得なくて、何をやるかある種マーケターの直感みたいなものを出口に意識しながら分析を積み上げ、最後そこを繋いでいく。

 

 

「n対nのTheご提案を1回」から「1対1の少数のライト提案を複数回」にする

総合代理店にありがち。

ゾロゾロと社員を引き連れて、数週間練りこんだ提案資料をドヤ!と提案。

これはこれで誰もが否定できないような大御所プランナーやクリエーターなら全然OK。その方が早いこともある。

でもそんな大物のアサインはなかなか難しいわけで、まずはクライアントのストレスを減らすことを意識。

広告会社側がボールを持ったまま時間が経ち、期待したけど全然違う提案をされた時のクライアントのがっかり感を持たせないために、社内資料並みのライトな提案資料で「こんな感じっすか?」「こんなのはありっすか?」と細かいラリーを複数回続けて精度をあげていったほうがいい。

クライアント側も、社内報告用に進捗を伝えたいし、ボール持ったまま下手な提案されたとき、自分の首もしまる。

一緒に作っていく、というスタンスで機動力と回転数を上げた提案に変える方がお互いハッピーだ。

 

 

プランナーは早めにクリエーティブを巻き込む

プランナーによってはクリエーティブにパスして終わりの人も少なくない。

が、やっぱり広告は制作物を作ってまでが仕事だ。

社内でマーケがボールを持ち続けて、時間が短くなったタイミングで「ホイ!」と戦略をもらってもクリエーティブもストレスが大きい。

「こんな戦略では売れないと思う」「この戦略をどう膨らませというのか」とお互いグチっぽくなって、提案も分断しがち。

クライアントから「戦略とアウトプットが繋がってないですね」と見透かされてしまうことも。

内部を味方につけるためにも、プランナーはクリエーティブを早めに巻き込むべき。

 

 

圧倒的かつ継続的なインプットを怠らない

クライアントの方が勉強しているし、情報を持っている。

これは17年とても痛感した。

セミナーや講演会、サミットなどを通じて、クライアントと媒体社が直接やりとりする機会が大幅に増えた。

そのため、事例一つとっても、クライアントの方が多くを知っていることがある。

まだ正式にはローンチできていないメニューだったり、一部テストで走らせている試験的なメニューなど。

クライアント同士も繋がるので、事例の先の具体的な結果数字も共有されることも。

それを知ったうえで広告会社も提案物を作らなければ、それだけで「この担当者大丈夫か?」と不安に思われる。

広告会社も忙しいのはわかるが、足を運んで勉強しに行く必要があるし、デスクで収集できるものは毎日頑張ってインプットすべきだ。

 

 

灯台下暗し、身近なところに有益な情報が転がっている

広告会社だけでなく、クライアントも意外と社内の有益な情報を見ていないこともある。

広告会社にもよるが、事例をせっせと集めて資料化する部署もある。

国内外の最新事例集があっても意識の高い社員しか見ておらず、キャッチアップしていない社員も多い。

とくに忙しいプランナーは、ひたすらアウトプットし続ける傾向があるので、強制的にも時間を作ったり、社内を行脚して新しい情報を仕入れないといけない。

クライアントも、データやツールの購入、独自ツールの開発など進んでいる企業もある。

きちんと社内のツールを自分で使ってみて、何ができるか理解していないと無駄な金を支払うことにも繋がりかねない。

 

 

広げた風呂敷はきちんと畳む

よい提案を行うために、至る所に声をかける。

声をかけることはとっても大事だが、散々散らかしてパートナーを疲弊させて、ろくにクロージングさせずに完結するのはマナーがなっていない。

次の提案、その次の提案と今後の関係性を視野に入れながら、配慮しながら声をかけるべき。

そのため、まずは何をどうしたいのか、何のパーツがあれば良いのかを整理したうえで、パートナー企業への声掛けをする。

散らかしほうだいの依頼主もパートナー企業からすると見抜かれるし、良い提案に繋がらないブーメラン状態を引き起こす。

 

 

縦に伸ばしつつ(一つひとつの精度を上げつつ)、横にも伸ばす(新しいやり方を増やす)

分析もプランニングも経験と共に引き出しが増えていく。

もっと切れ味のするどい提案ができるようにと、一つひとつの精度を上げる努力は怠らない。

より正しく、より早く、精度を磨き続ける。

それと同時に、分析とプランニングも毎年新しいやり方を開発していかないと、気付けばそのやり方が古くなって取り残されるということもある。

いまのマスしかできないプランナーとデジタルもできるプランナーがわかりやすい例だ。

新しいデータがあれば使ってみる。

新しいロジックの組み立て方で提案~合意までの手順が減るかテストしてみる。

縦と横を拡張していきながら、プランニングスキルを磨き続けなければ、使えないプランナー群に気付けば追いやられてしまう。

 

 

あらゆるものを「A⇒B」に置き換える意識を持つ

うまくいっていれば維持という選択肢も大切だが、うまくいっていなければ、過去やっていたAというやり方から、新しいBというやり方に変えていく必要がある。

それは、概念だけではない。

調査の仕方もこれまで通り定性と定量を決まったやり方でやるのではなく、調査自体のやり方も見直して置き換える。

ターゲットの設定、メディアの選定、コンセプトの決め方など、考え得るあらゆるものを変えていく。

クライアントも、新しい提案=チャレンジは社内でも期待される。

逆にチャレンジしない担当者は上層部からも評価されづらい。

チャレンジしましょう!という言葉と共に、これまでの凝り固まった考えを全て置き換えていくことが、市場でのシェアを拡大させ、新しい成功パターンの発見にも繋がる。

 

 

嫌われるのを恐れず、隅々まで設計する

どこまで責任を持って設計するか。

ブランド担当者に嫌われたっていい。

社内の営業やクリエーターにウザがられたっていい。

クライアントにとって本当に必要だと信じる物があれば、隅々まで設計すべき。

細部に神は宿るとはよくいったもので、やはり細部でマーケティングは差がつく。

必要だと思ったら、手を抜かず最後まで責任を持って設計する。

 

 

汗をかくことは共通の通貨

営業、プランナー、クリエーター、クライアントのブランド担当者、制作部隊、パートナー企業。

広告を一つ作るだけでも、多くの専門分野を跨がないといけない。

この17年に強く感じたのは、クチではなく手を動かすことで信頼は生まれるということ。

汗をかくことから逃げず、泥臭くて面倒な作業でも積極的に汗をかきにいくと、「そんなにもやってくれているんだから」と関係部署の信頼と尊敬が後からついてきて、自分が動かしたい方向にみんなが乗ってくれる瞬間がくる。

とくに戦略を立案するプランナーには大事な要素。

多くの関係者を動かさないといけないので、自ら汗をかく。

汗をかくことは他の人を動かす共通の通貨だ。

 

 

マーケティングもR&Dが必要

商品のR&Dはどの企業もやっている。

でもマーケティング領域もR&Dが必要だと日々感じる。

位置情報をつかってお客さんをお店に連れてくる。

クーポン以外のやり方でお客さんに商品を買ってもらう。

そのために、ある程度の予算を持たせてもらいながら、新しいやり方をトライしていかないといけない。

クライアントのお金でトライせよ、と上司は言うかもしれないが、広告会社のプランナーこそマーケティングのR&D予算を持ち、クライアントよりも知見と経験を早く貯めていかないと、クライアントの上を行く提案ができない。

 

 

分析~コンセプトメイキング~メディアプランニング~CR制作までの「繋ぎ」を強化するためのトータルプランナーの重要性

もう数年前からずっと感じているし、言い続けている。

全部トータルで提案できるプランナーがいない問題。

総合代理店は縦割りなので、基本分業。

プランナーの書いた戦略は、メディアプランナーにバトンパスされて、意図しないメディアMIXプランが出てくることもあるし、絞り込んだはずの方向性がクリエーティブで何故かもう一度発散され、戦略と関係ない方向で決定されることも。

いや、ストプラパート、もはや関係なくね?ということも少なくない。

最初の方に狙った方向から少しずつ軌道が変わる。

間違いなく変わる。

そして、プランナーもテレビで流れるCMを見て「あ、こんな表現に最後落ちたんだ」と気付くこともある。

手離れしてしまったので、戦略に対する責任が不在となっている証拠だ。

プランナーのスキルを拡張して、ただ企画書を書くだけでなく、深い分析力と、鋭いアイデア力も鍛えてワンストップで見れるようにならないといけない。

 

 

モノが売れる仕組みを理解し、キーとなるポイントを押す設計にする

モノが売れるキーとなるポイントを理解した上でプランニングしないと、tweetが増えたとか、いいね!が増えたとか謎の数字の結果は残るが、売上は伸びないということがある。

自動車や保険でいうと販売代理店、飲料でいうとボトラー、トイレタリーでいうと販社の営業力がやはり売り場に近いし、そこの営業支援活動が大事だ。

営業支援に繋げるために、CMもデジタルも様々なプロモーションと絡めて実施する。

そのキーとなるポイントが理解できれば、どんな資料がクライアントに必要とされるか、喜ばれるかが分かる。

クライアント担当者が、営業支援に使いやすい提案書を広告会社側が作るべきだし、それが売上にもつながっていく。

若手プランナーはクライアントに聞くか、担当営業にしっかり話を聞いて、その企業の商品が何故売れているか、どう売っているかを確認すべきだ。

 

 

クライアント内の言語レベルに合わせた資料作り

クライアント内でも複数の業種を扱っている場合、縦割りで文化も違う。

そのため、その業種ごとに役員も分かれていることも多く、その役員によって、通りやすい資料や言語がある。

何かを否定し新しい提案に見せる方が好まれる場合もあれば、まずはビジュアルがないと何も進まない場合もある。

提案前に、営業を通じてクライアントの内部資料を入手し、どういうトンマナが通りやすいか把握しておくと、自身のプランニングもスムーズになる。

また、至る所で自身の資料が利用されれば、プランナーとしての満足感も高まる。

 

 

どうしてその戦略・戦術をとる必要があるのか、意味を持たせる

競合プレゼンなどクライアント側が評価すべき指標(点数をつける項目)がしっかりしている場合は良いが、通常の提案では、オリエンしておいて広告会社からあがってきた複数の提案物からどのように決めればよいかクライアントも悩むことがある。

どれも良さそうだし、どれもうまくいくか自信が持てない。

そのため「何故その戦略になるのか」「何故その戦術をとるべきなのか」をきちんと整理し、一つひとつの提案内容(ページ)に意味を持たせる。

「だからこの施策をすべきだ」「だからこの予算が必要だ」と一つひとつに細かく理由を明確に記していくことで、クライアント側も選ぶ基準を持てるようになるし、物事は進みやすくなる。

提案前には、何故この戦略・戦術なのかを広告会社の社内で叩いて検証しておくべきだ。

 

 

資料を読み上げるのではなく、通すまでが提案

帰るまでが遠足です、じゃないけど。

多忙のプランナーは資料を作り上げるだけで必至だ。

毎日綱渡りのような日々を過ごしており、社内打ち合わせも開始ぎりぎりまで資料が作られ、同じくクライアントへの提案直前まで資料が作られることも少なくない。

ただ、資料を作るのはある意味スタートラインであって、いかにその提案を通すかが一番大事な部分だ。

資料にない部分の口頭での補強や、クライアントの質疑への返答など的確に打ち返すことで、両社満足度の高い提案の場となる。

過去多くの先輩らの提案を見ていたが、優秀と言われていた先輩は通すまでも圧倒的にうまかった。

事例を豊富に用いたわかりやすい説明や、決定権のある担当者が理解できる言葉への翻訳、根回しも含めて。

通すために、どう”魅せるか”というのもとっても大事だ。

 

 

高速PDCAとは、ただクイックに回すことではなく、早く戦略を精度高く作るための手段

ここ最近多いのが高速PDCAというコトバ。

広告会社もクライアントも無駄に使いすぎ。

PDCAの次のバージョン的な意味合いで使っている節がある。

高速であることは大事だが、なんでもかんでも高速に回しても、それが何のために高速で回しているか理解していなければ意味がない。

本来は、この市場の変化の激しい中で、早くそして精度を上げて戦略を立案し、即座に実施に繋げることがマーケティングに求められており、その手段として高速PDCAがある。

ただ、実施した施策を”早く報告する”ためのものではない。

そして、高速PDCAもダッシュボードの共有など、人の力を省く高速化なら全然ウェルカムなのだが、人の力もかかる高速化は広告会社にとって不幸だ。

過去、自分も高速PDCAという名の”人力PDCA”に巻き込まれたことがあり、夕方上がってきたデータを深夜レポート化し、そのまま朝提案に行くという地獄の数か月をおくったことがある。

大きな負荷がかかるし、いまの働き方改革とは逆行した動きとなるため、手段が目的化しないようにしたい。

 

 

誰よりも考えた奴が一番偉い

このコトバは昔からどの業種でも言われているコトバだ。

自分の仕事がうまくいったときと、うまくいかなかったときの両方でより強く感じるコトバだったりする。

しっかり考えつくしていると、誰からあれやこれや言われても自信をもってはねのけられる。

逆に考えていないとフルボッコ状態だし、周りの提案や意見そのものにもついていけなくなる。

強い情熱をもって、その商品を愛し、どうしたら売れるのかを、頭がはち切れるほど考える。

考える精度は後からついてくるとして、考える量では負けないようにすることがスタートラインだと思う。

思考力ではなく思考量。

 

 

10のデータよりも1人の実際の声

大学では理系だったので、数字は嫌いではない。好きでもないけど。

そのため、広告会社ではわりとデータを起点としたプランニングが普段から多い。

そんな自分でも、明確に「データよりも人の声の方が情報量も多いし、その熱量もはかれるので、もっとも大切な情報源」だと思っている。

人の声をキチンと聞いていく方がプランニングにも活かしやすい。

データはその検証に使えばよい。

某外資系企業のマーケターが年間100名にヒアリングをしていると言っていた。

その人曰く「生活者の顔を見れば、その人がユーザーなのかわかるレベルになってきた」とのことだ。

それくらい人の声を聞き続けることでわかる世界がある。

提案にもそうだが、通すための強い裏付けとしても人の声は使えるのだ。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
BI・デジタル・ストプラ

 

二児のパパ

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