男性らしさ、女性らしさみたいな要素が広告に入っていると、それってブランド側の押し付けじゃないの?という議論が普通にでてくるようになった。
男性、女性はこうあるべき、みたいな表現はSNS時代、間違いなく炎上するし、長年積み上げてきたブランド価値を急落させる危険な表現だ。
ジェンダーレスという考えが浸透しつつある中で、海外だと、そこがベースラインになりながら新しい表現者が出てきてトレンドを作ろうとしている。
Billie EilishのデビューアルバムWHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?が全米、全英アルバムチャートで1位、Apple Musicでは80か国で1位、その後も人気は加速しYouTubeで上がっている曲はどれも数億回越えだが、年齢はまだ17歳。
全てのアーティストに対して高圧的に指図しようとするステレオタイプな音楽業界やレーベルと闘う姿勢を最初から崩さず、それをエネルギーに変えて活動を続けている。
「可愛いと思われなくてもいい」というスタンス自体がいまどきのティーン世代の考え方なのかもしれない。
女性は可愛くあるべきというステレオタイプな考えを強要されない時代に育ったというのが大きい。
Billie Eilishと同世代のニュージーランドの19歳BENEEも同じようにTHE可愛い表現のアーティストではないし、彼女の素直で誰にも屈しない強い生き方こそが支持につながっている。
また、音楽性はダークポップといわれているが、ポップやEDMなど色々なジャンルの曲をネットで簡単に入手できる時代で育ったこともあり、それらをフュージョンさせたりジャンルにとらわれない曲を作っているのも特徴的。
このトレンドの先の新時代をどう形成するかという視点、結構忘れがちな部分だったりする。
Instagramが流行ったらInstagram施策を、みたいな安直なコミュニケーションじゃなく、それが流行り、世の中に浸透した後、何をすれば生活者が興味を持つのかという視点が大切。
若者に人気のコスメGlossierのPOP UP STOREはコミュニケーション設計は秀逸。
POP UP STOREにはお店の看板はなく小さな「Glossier」という文字がドアに一つ貼られただけで、知る人ぞ知るようなお店になっている。
中はパステルカラーで統一され、思わずSNSにアップしたくなるような装飾が豊富で、どの商品もタッチアップが可能に。
そもそもネットでコスメが買える中で、いかにSNSやリアルの口コミでそのお店を伝えたくなるかに重きを置いて作られている。
POP UP STOREでお試しして、人に伝え、気に入ればネットで買う。
また、お店で買ったときも、中央のピッキングエリアに自分が注文した商品が入った袋が上から吊るされて店内を回ってレジまで届けられる。
ただ店員からラッピングして渡されるのではなく、上から吊るされ手元に届くのを待たせることも特別な体験に変えている。
ネットで買える時代で、Instagramが当たり前になった中で、次にどう生活者を動かせるかというフォーキャスト型の設計になっている。
こういうトレンドの先を見据えたブランドづくり、していかないとな。