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広告とジェンダーレス

ジェンダーレスとは、男女の性差を無くそうという考えだ。

ここ数年、多くの企業がジェンダー関連のコミュニケーションで炎上したり、議論を巻き起こしてきた。

 

自分が広告会社に入社したとき、そのような考えを持ってコミュニケーションをしている現場担当者は今より全然少なかった。

 

女性はこうあるべき、○○な女性でないといけないなど、ジェンダーに絡めたコンテンツが、ちょっとでもグレーな表現に落ちていれば、「このブランドはそんな思想を後押ししている!」「企業としてジェンダーを軽視している!」という捉え方をされ、生活者、とくにネットを中心に大バッシングを受ける。

お客様の問い合わせセンターには、びっくりするくらいの量の問い合わせや、企業姿勢を問うような連絡が届いてしまう。

 

「夫の支援が少ない子育てママ」「未婚アラサー女性」「ティーンから20代前半女性」の生き方や苦悩をテーマにしているコミュニケーションが、今は特に生活者が敏感に反応しやすい。

また、それら今の社会の構図を変えようと、例えば「女性は悩んでいる、でもそんな人たちを支えたい」といった女性支援側にブランドの役割を担わせたコンテンツもあるのだが、「弱者を生む社会構図を助長しているブランドだ」と意図を捻じ曲げられ、SNSで広がってしまった事例も少なくない。

 

とはいえ、このジェンダーを重んじる流れは非常によい傾向で、これまでジェンダーについて考えてこなかった企業やその担当者がしっかりと捉え、不快な広告が生み出される前に軌道修正が行われる。

生活者がチェッカーとなって、ジェンダー関連の不快な広告が消えるしくみが自然と作られていった。

 

今はコンテンツを作る際、生活者以上に正直、社内が一番炎上してたりもする。

社内炎上

 

危うい表現は実行される前に社内で一気に広がり、コンプライアンス関連部署、お客様問い合わせ関連部署、法務関連部署、ソーシャル運用部署、広報、役員…など、次から次にアラートを出す人が出てくる。

 

アラートは多いが、解決策を出してくれる人は意外と少なかったりもして、施策の準備を進める現場担当者はこれらのアラートを抵抗勢力と捉え、「ずっと宛先に入れていたのに、ぎりぎりになってアレコレ言ってきてなんなんだ!」「後で何かあった時のために、私は忠告したぞ!というポーズをとっているのか?」と現場感の関係悪化にも繋がったりする。

 

社内炎上を減らすためには、「改めてブランドの意思確認」「早めに関係者を巻き込む」「様々な視点で作るQ&A集作り」の3点が大切だ。

 

リスクを理解したうえで、たとえ多くの賛否が出ようとも、ブランド側が本当にその選択を行うのか=ブランドが腹を括るのかを確認し、多くの部署が支援する。

 

そして、制作に入る前の企画立案段階で、コンプライアンス関連部署やお客様問い合わせ関連部署など、多くの部署に相談をし、意見を貰うことで関連部署を味方につけていく。

 

最後は、関連部署の知見や経験をもらいながら、生活者から問い合わせがあった時の想定Q&A集をしっかりとつくっていく。

迅速な対応ができるように色々な視点で事前に作ることと、いまは企業の回答がネットで広がることも少なくないため、言い回しも含めた正確な回答を作り、関係者と握っていく必要がある。

 

このジェンダーレスは日本だけの問題でなく、世界中で同時に起こっていることだ。

 

Fearless Girlが17年カンヌライオンズでグランプリに輝いたように、アメリカでもジェンダーレスはホットなキーワード。

 

今年の2/14のフロリダ州の高校の銃乱射事件が起こった際も、ジェンダーレスの議論が活発になった。

その時に出てきたキーワードは「Toxic Masculinity」だ。

 

Toxic Masculinity=毒々しい男らしさ

 

「Toxic Masculinity」は、数十年前から指摘されている言葉で、ジェンダー学で「男なんだから泣くな」「男らしくあるべき」という解釈で用いられる。

 

男らしくあるべきと学んだ男性はストレスを暴力で発散したり、暴力で伝えたいことを表現しようとする傾向があり、銃乱射事件とこの「Toxic Masculinity」は関係していたりする。

 

広告だけの話ではなく、男の人はこうあるべき、女の人はこうあるべきという考えを捨てようと、世界中が変わろうとしている。

 

コミュニケーションを設計する立場として、もっとジェンダーレスの問題を正確にかつ深く理解しないといけないな。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
BI・デジタル・ストプラ

 

二児のパパ

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