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初速の売上をデジタルで最大化させる

元日本マクドナルド上席執行役員マーケティング本部長の足立光さんが提唱したデジタルのKPI指標「プレバズ」

マクドナルドのV字回復の大きな要因として取り上げられたのもあり、わりと浸透している言葉。

 

新商品の発売前に多くの生活者に語ってもらうこと「プレバズ」と定義。

基本的に新商品は発売時に一番のピークを迎え、徐々にその波が落ち着いてくるため、売上の初速が大切だ。

 

このプレバズが売上の初速に影響を与えると発見し、いまではマクドナルドのほぼすべてのプロモーションに組み込まれるほどになった。

色々な講演やWEB記事で広まったのもあり、プレバズを使って成功した事例も増えている。

 

マクドナルド 東西対決

マクドナルドを関東ではマック、関西ではマクドというが、あなたはどっち?というプロモーション。

新商品の東京ローストビーフバーガーと大阪ビーフカツバーガーを商品だけの対決で完結せず、関東愛vs関西愛という地元愛の対立構造に変換して競わせたことが多くの人を巻き込んだ要因だ。

 

発売前に、関東、関西の生活者に食べてもらい、そのリアルで面白いコメントを取り上げてデジタル上で配信。

食べてみたいという反応から、やっぱり関西の方がうまいわ!のような声が広がり、発売前にザワザワさせることに繋がった。

 

最終的には、関西群のマクドが勝利し、公式サイトの社長のメッセージが関西弁になったのも、多くのメディアを賑やかした。

結果としては、売上高が1,871億円と13.2%増、営業利益は150億円と4倍増になり、1-9月の連結決算では、最終利益が前年比4.8倍と良好な結果をもたらしている。

 

 

 

プリマヴィスタ ブラックプリマ

ベースメイクブランド プリマヴィスタが4/1のエイプリールフール企画で、パッケージが真っ黒の下地を、女装男子限定で発売と発信。

エイプリールフールは、多くの企業のデジタル上でのお祭りごとだが、プリマヴィスタもその流れに乗っかった。

 

その二日後に、通称ブラックプリマを本当に発売します!と発表したことで、Twitterを中心に多くの人が面白がって情報を広め、「これは気になるw」「本当に発売した!やるじゃんプリマ」という声が集まった。

商品自体は、超オイリー肌用と書かれているように、下地の通常品よりも更にテカリにくい機能を持っているため、皮脂で悩んでいる人から発売前に「絶対買いたい」「どこで売っているのか」という声を集め、購買意欲を高めることに繋げた。

結果として、男性によるtweet数も約3倍に増加するなど男女問わず注目され、想定の30倍のスピードで完売した。

真面目な企業がやるからこそ、その話題性は大きかった。

 

 

オールフリー 夏は、氷で!キンキン。

オールフリーが、夏は氷のグラスで飲もうと訴求するプロモーションを実施。

新しい飲み方を提案するにあたって、タレントの佐々木蔵之介による「へい」しか言わない動画をデジタル上で配信。

動画では本当に「へい」しか言わない。

テロップだけ変わるのだが、さすが俳優、「へい」の二文字でうまく感情を表現。

 

SNSでは、「なんだよこの動画w」「へいしか言ってないけどナニコレ」という声でザワついた。

また、「へい」しか言わない動画中、オールフリーを飲んだ瞬間、佐々木蔵之介がつい「キンキンに冷えてやがるー!」と唯一感想を発するところがあるのだが、その言葉は人気漫画 賭博黙示録カイジの映画の名シーンでもあり、カイジファンから「これはカイジじゃね!?」「#キンキンに冷えてやがるww」という声でネットは盛り上がった。

 

そして、多くのプレバズが集まったタイミングで、新CMを放送。

そのCMでは、「へ~いへいへいへ~いへ~い」で有名なフィンガー5の名曲「学園天国」を起用していた。

「なるほど、『へい』の意味がやっと分かった!」という声が多く集まり、新CM放送時のオールフリーの売上に大きく貢献した。

二重三重にも重ねた布石が効果的だった。

 

 

フード、飲料、日用品や化粧品などの低価格~中価格帯の商品には、売上に大きく影響を与えると思われる。

また、高価格帯商品であっても、新タレント、新CM、新商品などの認知獲得、興味喚起に繋げることもできる。

 

発売後から発売前。

PostからPre

 

発売前に如何にクチコミを大きくさせ、発売前の期待値を上げることができるか。

ネットでもリアルでも大切なことは同じ。

 

当たり前だが、商品力が無くては買った後の「期待外れ」になり、逆に悪いクチコミが広がってしまうため、真面目に商品開発を行っている企業こそマストでやるべきだ。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

三児のパパ

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