「ゴーゴーケンゴの【完全保存版】島田紳助がNSCで語った【伝説の講義】全文書き出し」から、島田紳助の2時間ほどの動画を知ったのだが、見れば見るほどこうした”優秀な人・成功する人”は、対象がお笑いだろうが、メーカーや広告会社でもみんな同じなんだなと思った。
「知られたくない秘伝」と言っていたり。
「成功するのに必要な事殆ど書いてありますね」とあるように、他の人も共感する部分が多いのだろう。
一つひとつの言葉が示唆に富んでいて、自分もウンウンと頷きながらつい二回連続で見てしまった。
広告会社としての学びになる部分について。
漫才ってのは教科書がないわけやんか?まず、自分で教科書を作ろうと思った。僕がやったんは、コンビ組んでね、自分が「おもろい」と思う漫才師が自分の感覚に一番近い。それをな、なんべん見ても一緒やねん。
紙に書くの。一回一回とめて全部紙に書くの。物凄い時間かかるけど、ずっと紙に書くの。それを見て、いつも寝る前考えんねん。どう違うねんって。おもろい漫才師はおもろい理由があるから、それを何組も見る。書くことで、色々見えてくるんよ。
例えば、僕がやった時は、名人言われる人と僕がおもろい思った漫才師を比べてみる。すると、一分間の”間”の数が違うのよ。そりゃ、10年20年やっている人はうまいよね。間が細かいのよ。仮に、上手い人が1分間で20個の間があったとしようよ。それを自分らが同じだけやろうと思ったら、時間かかるよ。
でも、俺ら漫才やっている人ですら、そんなとこに気を付けてみてないのよ。ほな、お客さんはみてないよ。おもろいかおもろくないかだけなんよ。ってことは、上手くなくてええんよ。下手でもおもろかったらええんよ。
だから、僕らの時代はB&B、ビート、紳助竜介は1分間の間が少ない。うまい人は20個あるけど、俺らは8個だけ、ほなどう考えても少ない方が失敗する率が少ないのよね。
ほんで、一人の人間が圧倒的に喋ることでリズムが作りやすい。技術的に言えば下手くそな漫才。でもお客さんはわかんない。海原千里、万里さん、高校生からスターやった。ほんで、僕は黙ってテープを取りに行った。2本くらい漫才とって、家帰って分析するんよ。
ほんじゃ、なんで高校生やのにこんなおもろいねんって分析したら、ネタの8割が同じパターンやねん。オチのパターンが8割一緒やねん。なるほどと。こんなこと漫才師なろうと思っている俺らでも気付かへんのにお客さんが気付くわけがない。そういうことをコンビ組む前、一人でずっと勉強してたんすよ。
紳助・竜介の頃の漫才は見たことなかったが、感覚的な”面白い”というのはどういうことか、面白いと言われている漫才は他と何が違うのかを、紙に全部書き出して自分なりの解を出している。
こういう行動をとってお笑いを科学しているコンビが他にどれだけいたか。
広告会社でコピーライターは、写経と呼ばれるトレーニングでコピーのスキルを強化する。
何を伝えるために、どういう言葉を組み合わせて使っているか。
有名なコピーは片っ端から書き出して、ロジカルに理解しつつ、心に響くコピーの体系を体の中にインストールしていく。
ストラテジック・プランナーは、デコンストラクションと呼ばれる、プロモーションのアウトプット(広告)から戦略を逆算し、どういう設計で何をねらい、アウトプットまで導いたのかを考えるトレーニングを行う。
どちらも、うまくいっている例をベースに、何故うまくいっているのかを要素分解し、自分の中の成功の法則を見つけていく作業だ。
お笑いも広告も同じ作業で、自分なりの成功の形を掴むのが大事なんだな。
吉本の人も9割が漫才わかってないからね。当時の劇場の支配人もわかってないから。21回の舞台の中で真剣にすんの3回だけ。
だって朝のおばあの客相手に真剣にやっても無駄や。だから、いつも2分くらいで切り上げてね、とか、わざと小ちゃい声でやって聞こえへんようにね。なんでそんなことしたか言うたら、いかんことやけどね。俺たちのターゲットは20-35歳の男性やと。35歳の男性を笑かさなあかんねやと。当時は、子どもから大人まで全員笑かさなあかんという時代やってんな。
そんな中で俺だけ笑いも細分化されると。だから20-35歳の男性を狙って笑かす。自分と一番感覚近い奴を笑かすのが一番簡単やからや。でも、ちょっと売れ出すと若い女がキャーキャー言いだすねんな。これが邪魔やねんな。こいつらが俺たちをダメにするから、いっつも相方に言うててん。
こいつらがキャーキャー言うて人気のあるように作ってくれてる。こいつらも必要やねんな。でも、めちゃめちゃ邪魔やねん。
なんでか言うたら、こいつら笑かすのは簡単や。だから、こいつらを笑かしにかかった瞬間におれたちは全て終わってしまう。だから、カメラ越しのコタツで見てる兄ちゃんがおもろいと思ってくれる感覚でやる。いつも客は向こうにおるんや。男がああいう女の子を笑かしてたら絶対無理。
あいつらが笑えば笑うほど、俺たちが一番笑かしたい奴らが「何やってんねん、学園祭でやっとけや、もっと身内だけ集まってやっとけ」って状況になんのよ。
お笑いは老若男女と言われるが、最初から誰を狙っているかを明確にし、そのターゲットに向かって漫才をしている。
広告においても、言わずもがな、ターゲット設定は最も大事な要素だ。
デジタルでは色々なターゲットを狙えるからと、あれこれターゲットに手を出していると大概失敗する。
予算も分散するし、言いたいことも分散する。
誰に何をどう伝えるのか、極力シンプルに考えていく必要がある。
昔から売れてた人、その時、その時で売れてる人の(漫才)を全部聞け。それを聞いて、どう(漫才が)変わってきたんか、何が違うか、徹底的に聞け。
それがね、Xというのはまず自分で何ができるのか。自分の戦力を必死で探す。ほんでY。これは世の中の笑いの流れ。時代の変化、これを研究するんや。だから、XとYを研究してわかったら、初めてわかるんや。俺どうしよ。何をしよ。どんな笑いをつくろ。
仲間沢山おったし、いっぱい見てきたけど、このXとYもわからんと悩んでる奴が多い。先輩も後輩も「紳助さん、新しい笑いやりたいんですよ」、バカかと。どうしたらええん、紳助?無理ですよ、そんなん俺だって答え出ませんと。
僕もあなたじゃないから、僕があなたに代わって一年間必死にやったら答え出ません。でも、公式は作れます。僕はあなたじゃないから、Xはわかりません。Yは半年あれば作れると思うんよ。これから5年後、10年後、どういう笑いに変化していくかわかると思うんよね。だからね、この公式を作らなあかんねん。
ただ単に、おもろいこと考えよ、よそがやってへんことやろうぜって、そんなん絶対無理。でもな、たまに出来ることもあんねん。けど、絶対潰れんねん。なんでか言うたら、公式が無い答えや。
学校でも一緒や。たまたま書いた数字が当たることあるやん。でも、何の根拠もなく売れた奴はYは動いていくんやから、ついていけへんねん。
芸能界でも、一発屋っておるやん。なんで一回売れた奴が消えていくん。なんで売れたかわかってないんよ。たまたま、前からやってきたことが時代の変化に当たっただけよ。Yは、笑いの変化やから動いていくんよ。だから、インパクトはあんねん、最初に衝突したときの。でも、そこに修正が効かへんのよ。
売れてる奴はみんな一緒。世の中に自分を合わせてんのよ。だから、大事故にならない。接触事故ばかり。今の公式は絶対的なもんや。こん中で、何人がXが分かり、Yを正しく分析するか。全員は無理やで。
何人かがわかると思うんよ。今売れてる人は俺に向かって、なんで言うねん、言うな!秘密にしとけ!って思てるよ。だから、X+Y、そして自分がどういう形のものをつくるか、まずやる。
コミュニケーションプランニングに必要な要素に、世の中の空気や、カテゴリに対する捉え方をきちんと理解する必要がある。
自動車を買わない、飲みに行かない、結婚をしない、今の世の中の空気を理解した上で、このターゲットがどういうコミュニケーションには反応しているのかを理解する。
男性と女性の関係性、物が溢れた世の中での、物の選ばれ方など。
数年前と今とでは、LGBTに関する捉え方も全然違う。
女性を一括りにした広告表現だって、数年前と今とでは、間違いなく世の中の反応が違う。
お笑いでも同じように、世の中のお笑いの大きなトレンドを理解し、何が面白いのかというミズモノである”感覚”を理解し、今後そのトレンドがどう変化するのか、Yを理解した上でXを設計している。
甲子園はテレビやから舞台で活躍して終わろうなんて一切考えてなかった。テレビは運っていう人いるけど、一個だけ運があるとしたら、誰が同期か、誰がライバルかってことやね。巨人阪神がおらんかったら、もうちょいまともな漫才を考えたね。入った時に、巨人阪神の漫才見たらびっくりしたね。吉本にドラフト1位で入った漫才なんやけど、初めて見た時、こらアカンわって。
地方巡業で九州行ったとき、風呂場ん中で紳助兄さん何しはるんですか、僕も相方決めて漫才やるんですよ言うて、他何してたんって言うたら、物まねも言うてね。俺も物まね自信あったから、ちょっとやってみいや、言うてやらせたら、あっこれがプロなるやつの物まねか思てね。ほんじゃ、兄さんも物まねやってください言われて、とっさに俺物まねできへんねん言うてね。
それ以来、絶対せんとこ思たもん。だって負けるもん。俺らは勝つことしかしたらあかんねん。巨人阪神の漫才も見て、漫才やらんとこ思ったもんね。正統な漫才は無理。スターにもなれへん。ほな、どうしたらええんや、悪役になろうぜと。ヒールに変えたらええんや。
怖いやつは笑えへん。でも、怖そうなやつが弱かったら笑えるやん。ほんで、ツナギにしよとか、リーゼントにしよとか、まぁ行くたびに怒られて、なめてんのかとか、怒られ続けてたら、向こうも怒り疲れるんよね。
勝てる試合しかしない。
負けるのをわかっているなら、勝負をしない。
個人的にも大切にしている仕事のモットーとして、人がいない列に並ぶというのがあるが、それと似ている。
総合代理店なんて人多すぎなんだし、めちゃめちゃたくさんの先輩、先人たちがプランナーとして活躍している中、同じ戦い方を身に着けても勝てるわけがない。
経験もスキルも何年も蓄積し続けている先輩の列の後ろに並ぶだけで、いつまでたってもいい仕事はおりてこんよと。
であれば、人がやっていない列に並ぶ。
人のいない列というのは、列の一番前ということであり、その領域の一番詳しい奴になれる。
これだったら、入社年次は関係ない。
人がやっていない領域は、シンプルに言うと、人がやりたくない領域だ。
すっごい手間がかかったり、コツコツ勉強しないと身に付けられない知識だったりして、枠売って儲けてた時代の先輩らはだいたいこの面倒くさい領域は避けて通るので、穴場だったりもする。
ZOZOの前澤社長の記事でも近しいことを言っていた。
前澤社長は「競争が嫌い」という事を公言しています。社員の基本給やボーナスを一律にしたのもその一環で、都心の一等地ではなく、千葉の幕張に本拠地を構えたのも「競争を避けた結果」だそうです。
前澤社長
「僕は本当に競争が嫌いなんですよ。小学校の頃から徒競走の順番とかテストの点数とか、ああいうので順位をつけられるのが本当に嫌で。『なんで競争しなきゃいけないんだろう』ってずーっと疑問に思ってたんです。かけっこが早いから偉い、とか、勉強が出来るから偉い、って変じゃないですか。みんなそれぞれ違って、それぞれにいい所があるのに、一定の基準で優劣をつけるのっておかしいと思うんです。だから僕は『競争しない』ってずっとそれでやってきたんです。変に優劣をつけずに、みんな一緒でいいじゃん、って」
ZOZOTOWN躍進の秘訣も「競争しなかったことによるもの」と社長は言います。他と同じことをするとどうしても競争が生まれる。だから、ZOZOは他がやらないような事をやる。他がやらないから競争が生まれず、市場を独占出来る。
前澤社長
「『競争しない』って、つまりは固定概念をひっくり返すことでもあるんですよ。世の中が『こういうもんだ』っていう固定概念を持ってるようなものこそ大きなチャンスなんです。例えば『服は服屋さんで試着して買うものだ』っていう固定概念があるじゃないですか。着てみないとサイズが合うかどうかわからない、って。でも、お客さんが本当に欲しいのは試着室じゃなくてフィットする服なんです。じゃあ試着しなくても、体にフィットする服を選べるような仕組みを作ればいい。それで生まれたのがZOZOSUITです。正直、1作目は開発に失敗して40億円の損失を出しましたけど、でもそれくらい正直言って『どうってことない金額』です。こんな事言うと怒られそうだけど(笑)。でも挑戦を続ける以上、失敗はしょうがない」
どうしたら勝てるかを必死で考え、勝てるアプローチで勝負する。
どの業界も同じだな。
話を島田紳助の講座に戻す。
これは言いたくないな、というのが1個だけあるんやけどなぁ。もう、ええか。もうじき辞めるし。えっか、俺ももう長ないし。これな、自分らはええねん。TV出えへん思うし、今、TV出てる奴が見るのはヤバい。そいつらに、あ、なるほど!と思われるとヤバい。けど、まぁええか。ほんまは教えたくなかった、極秘のトリック。
一般の人の賢いってのは色々知ってはるやんか。サンデープロジェクトって朝の報道やってるでしょ。俺、頭悪いからわからへん。でも、スタッフがスペシャリストやねん。専門家が集まってるんよ。例えば、俺が、ビッグバンについて教えてください言うたら、その専門家がいるんよね。知識レベルめちゃ高い。1人ずつスペシャリストやねん。
でも、俺らはな、残念ながら1個の仕事するんちゃうやん。バラエティって色んな仕事せなあかん。そこでスペシャリストみたいな顔せなあかん。それどうするか言うたら、勉強できひんやろ、時間もないし、努力もキライ。これな、ペテンやねん。1分野、1か所。
例えば、野球。俺、珍プレー好プレー16年くらいやってんねん。VTRのたびに、司会者って2ついて、本番前にVTRちゃんと見る人がいんねん。最近知ってんけど、殆どそうらしい。俺は殆ど見いひんのよ。珍プレー好プレーやってて、VTR見ながら、あれ誰?あれ誰?ってずっと聞くんよ。ほんで、VTR明けには知ったように喋るんよ。
昔ね、ヤクルトの岡林ってごっついピッチャーと古田君がゲストで来たんよね。ほんで、後半戦にVTR入ったら、岡林君が、紳助さん年何回球場観に行っているんですか、そんな忙しいのに野球見る時間あるんですかって、ほな古田君が、お前はアホか、紳助さん球場なんてもう10年くらい来てないわ、ね、紳助さんって。
俺も、おう、知らん知らんって。岡林君が、え?でも、ちゃんと出来てますやん、言うたんよね。じゃあ、古田君が、だから、プロなんやと。そういうことやねん。我々は知る必要ないねん。野球マニアやないから、興味もないもん。
例えば、今、大阪で小っちゃな番組出た、トークテーマは野球や。誰が好き?って聞かれたとしよう。君は興味ないとしよう。そこで、清原!とか金本!言うたら、みんな普通やと思うねん。でも、君が、阪神の藤本!って言うやろ。大阪ではメジャーすぎるけど、東京やったら、それくらいがええ。
みんなが微妙に知ってるかどうかくらいの、微妙な選手を言うわけよ。ほな、なんで?思うやん。清原って聞いたら何で?って思わんよ。でも、藤本やったら、何で藤本なん?ってなるやろ。まず、この段階で皆より聞いてくれるポイントになるわな。
だって、すごいやん、藤本って。高校でどうしてもプロなりたくて、それでもなれへんくて、滋賀の野球専門学校行って、そこ出てもまだプロなれへんかって、そこから社会人行って、やっとプロなれたんですよって短い時間で藤本のサクセスストーリーを語ったとしようや。
ほな、皆どう思う?こいつ、めっちゃ詳しいやん。実は、こいつ野球知らんくても。清原のことを語っても、皆もうええってなるんよ。お前のレベルは皆知ってるんやから。
そこで今、大阪やったら赤松のこと語ってみ。ほな、すっげー、お前マニアやなって言うわな。それって知識あるってことやん。実際、知らんくていい。そこだけ詳しくアツく語る。あと一個は、否定するもんを持っておく。お前、赤松のことアツく語るのに、なんでチームのことは知らんねんって言われる。そん時に、俺たちは屁理屈を言えば良い、理由を。
俺なら、巨人全然知らん。背番号も知らんで。だって子どもの頃から、親父がガチガチの阪神ファンで、巨人は悪い奴って洗脳教育を受けていたから覚えたらあかんと思ってた。例えば、阪神全然知らんと、そこで人が納得するような理由をつけたらええ。阪神に興味はない。でも、俺は、赤松に興味ある。あいつが売れたら、俺も売れるんや。なんかダブんねや!ってのをアツく語ると、人はこいつが野球を知らないって奴って思えへんのよ。
だから、1個ずつ1個ずつ詳しくなんねん。こないだ、加藤茶先輩とご飯行って、紳助君、いつそんな勉強してんの?って。いや、先輩、全く勉強してないですよって。いや、何でも知ってるやんってね。いや、知ってることしか喋ってませんもん言うて。これ、物凄い言葉やねん。
今の話聞いたらわかるやん。俺は、真面目に答えてるねん。知ってることしか喋ってない。でも、知ってることが1分野1個めちゃ詳しかったら、人は何でも知ってると思うねん。タレントはな、この分野を増やしていったらええねん。俺らは賢い必要はない、賢いんちゃうかなって思われたらええ。
全部知らなくていい、1分野1個だけめちゃめちゃ詳しくなることで、何でも知っている人に見えるというテクニックだ。
最近だと、マツコが博識なイメージが強く、何を聞いても何でも答えられるタレントに見えるが、実は紳助と同じようなテクニックを使っているのかもしれないな。
自分が広告会社に入社したときに、「全てのことを薄く知っている状況になれ。そして特定のことは全て知っている状況になれ。」という言葉を先輩から言われた。
全てに広く、何かに深くという意味だ。
10年たつけど、いまでもはっきりと記憶に残っている言葉の1つ。
広告会社は、自動車からトイレタリー、携帯に飲料、インフラに自治体など、対応する領域がとても広い。
それに加え、移り変わりの激しい生活者の意識価値観や、テレビ新聞ラジオ雑誌OOHにデジタルなどのメディアやデバイスのこと、タレントやアニメ、キャラクターに業界のCOMトレンドなど、あらゆることをカバーしていないといけない。
仕事で対話する人はいろいろな業種にまたがっているし、その人たちの興味関心を考えると、あらゆることを知っている必要がある。
そのため、あらゆることに対して、話がわかる=ヒアリングができる状況に最低限あるべきで、自分の専門分野に関しては、広告主の担当者と同じくらいかそれ以上詳しくないと、価値のある提案ができない。
時間がある限り、全てに広く、何かに深くのマインドで猛烈なインプットが必要になる。
お店やってる理由は生意気やねんけど、自分は人間としての能力が高いって若い頃から思ってんのよ。自分は漫才やって、タレントやって成功したやん。でも、心の中でどっかで、いや、たまたまやで、たまたまうまく行っただけやでって自分と、いや、俺は何やってもうまくいくって自分もおるんよな。
だから、もし俺が金目的にやってるならお寿司屋さんが成功したら、お寿司屋さんを増やしていくよな、ノウハウあるから、その方が楽やん。でも、まだあるんよ。たまたまちゃうのって。ほな次はバーやろって。店も内装、金かけて、ライブ有りでやって、カクテルもメニュー無しで気分を書くねん。いつかスターになるぞって。ほな、バーテンさんが、いつかスターになるぞを作ってくれんねん。これならイケるやろって思って、成功してまた、よっしゃ!って思うんよ。
やっぱ、たまたまちゃう。だから、自分の中の答え合わせをしてるんよ。はじめ、竜介と漫才やろう言うて教科書を作った。新しいこといっぱい考えた。それで売れた。全く一緒、お店も。物を売るのも、自分を売るのも全く同じノウハウやねん。でも、島田紳助はもうデビュー出来へんねん。違う顔、違う名前でやれば良いけど無理やんけ。
だから、お店でそれを証明すんねん。変な話、オープンしたら何も言わへんねん。だから、今もし俺が横について漫才教えへんで。どうやったら売れるか一緒に考えるやろ、ほんじゃ2-3組は世に出れるよ。だからやり方よ。
島田紳助は、いろいろあって芸能界を去ったけど、去る前からお笑い以外のお店の経営も積極的にやっており、どれも成功させていた。
本当に人間としての能力が高く、改めて尊敬する。
彼の視点は、上手くいっている”仕組み”を捉え、その仕組みを異なる業種ごとにカスタマイズして横展開し、成功させている。
“物を売るのも、自分を売るのも全く同じノウハウやねん”という言葉の通り、大きな視点で物事の”仕組み”を理解しているからこそ、どの業種でも上手くいくのだ。
広告会社の仕事は、キャンペーンレイヤーの話もあれば、モノづくりや、組織作り、事業構想など多岐にわたるが、大切な視点は、どの分野でも成功している事例があり、それが”何故成功しているのか、その仕組みを自分なりに解釈すること”が大切ではないかと思っている。
色々なレイヤーの成功事例を要素分解し、自分なりの成功法則を見つける。
その成功法則は仮説だ。
でも、自分だけが導いた仮説であり、仮説を持っていることは、あらゆる難題を解く際の大きな拠り所になる。
○○が成功したのは△△が□□だったからだと思う。
だから、☆☆をやるときは、成功のキーとなる□□を意識して、これまでにない××を作るべきだ、ということが自信を持って提案できる。
数多あるゲーム機の中で、新ハードであるNintendo Switchが何故大ヒットしたのか。
過去、暗いニュースが多かったSONYが、何故2年連続で最高益を更新できたのか。
クラウドファンディングが何故日本でも受け入れられるようになったか、クラウドファンディングの中で成功している商品は他と何が違うのか。
仮想通貨のビジネスで成功しているプレーヤーはどこか、それは何故か。
ペットボトルの珈琲であるクラフトボスが何故ここまで若年層にヒットしたのか、後を追う他社は何故うまくいっていないのか。
トレーニングする題材は、探せばいくらでもある。
上手くいっている仕組みを理解することは、とても大切なトレーニングだ。