2012年国内のBtoCのEC市場は9兆5130億円。(経済産業省より)
2014年は、BtoCとBtoB合わせて16兆円にものぼると言われている。
EC業界は今、勢いがある。
総合ECの楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングに加え、ケンコーコム、ZOZOTOWN、じゃらんなど専門ECも存在。
自社ECとは異なり、様々な商品を家にいながら店頭と同じように、店頭よりも安く購入出来る。
イトーヨーカドーやイオンネットなどのネットスーパー、セブンネットやファミマコムなどのコンビニ系EC、ビックカメラやヤマダウェブコムのような家電量販ECなど、リアル店舗を持つ企業もオムニチャネル化を進めてオンライン/オフラインともに購入機会を設けている。
更にスマホの普及に伴い、Fril、Mercari、LINE MALLなどのCtoC向けのスマホ特化型のECも続々出てくるようになった。
CtoCで言えば、個人でショッピングサイトを作りたい人用に、BASEやSTORESの様なECサービスを提供するプラットフォーム企業も出てきている。
STORESで過去、自分のお店を作ったことがあるが、画像を準備するだけで、15分ほどでお店を立ち上げることができて驚いたほどだ。
また、UBERやairbnbのような旅行移動予約に特化したサービス系ECも出てきた。掃除や子守り、習い事の教師など自分のスキルを販売するサービスECは今や何でも有りの状況になっている。
新興企業は物流を持たないので、既にECで実績のある企業と手を組んでお金で時間を買う作戦に出ている。
LINE MALLは、通販会社のフェリシモと提携して、全国一律料金で配送ができる。
新興企業はアプリ内での顧客満足度の向上や離脱を防ぐことに注力することで、不得意な部分は得意な企業に補ってもらう方が早いのだ。
Mercariでは世界進出するにあたり、物流と決済の2つが整っている先進国を狙って攻めている。
当然だが、「物流」はECにとって非常に大切な要素だ。
Uberのように、ハイヤー配車サービスで、人を届けるという、ある種物流を主とした新興サービスは、その物流網を使って他のサービスに応用が効く。
7月18日にUberは、ワゴン車を使ったアイスクリーム販売を始めた。
3個セット2000円と値段は高いが、世界38カ国144都市で25万個のアイスクリームを1日で売り上げるなど、他サービスへの応用に成功している。
アイスクリーム以外にも、飲料や食料、衣服など他サービスの横展開を今後行うだろう。
しかし、物流網を持たないEC企業は、今、物流費の高騰で悩まされている。
物流大手の配送網がパンク状態で、値上げに屈するしか無いのだ。
去年、佐川急便がAmazonの配送から撤退したというニュースもそれを表している。
値下げしてサービスを向上したいEC企業と、値上げしたい物流企業と折り合いが付きづらい状況になっている。
そうなると、これからは全国に実際に店舗を持っている「リアル店舗」が強い。
ヤマト運輸は営業拠点を全国4000カ所持つが、例えば、セブンイレブンは全国で1万7000店も存在し、その数は圧倒的だ。
こうした店舗を活かして宅配インフラに力を入れだすと、その勢力は大きく変わる。
ECに参入する新興企業によって、既存のECやリアル店舗が食われてしまうのかと思ったが、そうではないようだ。
リアル店舗を活かして、物流を強化し、その上で、新興企業からの配送を受注して行けば、物流の大きなビジネス拡大が実現出来る。
しかし、リアル店舗は、店頭で働く従業員を抱えるので、簡単にECに注力することはできない。店頭の従業員は、店頭で物を売ることで評価され、売り上げはその店舗につく。
お客様がショールーミングしてECで買ったときに、そのECの売り上げをどの店舗に割り振るかという問題がおこるため、そのルールをきちんと設計しないと売り上げや働き方をめぐって社内でコンフリクトを起こす。
リアル店舗側もそうした悩みはあるが、このルール作りがきちんとできれば、大きな物流ビジネスへと拡大することができるだろう。