2016年のベストムービーは間違いなく「君の名は。」だ。
現時点で、国内で興収210億円、タイや中国でもヒットし、これまでの日本映画の歴代興収入を塗り替えた。
この映画の真ん中に来るのは「感動」だが、そこに到達するための手段がこれまでにないやり方だったことが、凄い功績だったと思う。
このやり方の開発こそ、広告会社にも大事な視点のように思う。
絵やセリフに合わせて音楽をつけていくこれまでの映画の作り方から、「君の名は。」では、音楽をベースに絵やセリフをはめていく作り方を行なった。
音楽が生きるようにセリフをカットしたり、映画の構成を作っていく。
歌詞や音、映像の完全な融合により、観客は映画の世界観に入り込むことができた。
日本にはたくさんの映画監督がいて、同じように映画を作っていてもチャンスは少ないし、自分にスポットライトが当たるのも、ずっと先のことになる。
人がやっていないやり方を見つけ、自分にしかできないやり方を考え実行することは、とても勇気がいるし見本がない分苦労する。
でも若手こそ、人のいない列に並ぶ、という考えを持たないと、同じ職種の列に延々と並び、何年後、十何年後のチャンスまで並び続ける必要がある。
もうその頃には、その職種の必要性がなくなっているかもしれない。
その頃には、その仕事に飽きて転職しているかもしれない。
並んで待ち続けるくらいなら、先人達がやっていないやり方で勝負すべきだ。
PARTYの中村さんも電通に在籍しているとき、自身でコードを書き、プロトタイプを作って提案をしていた。
これも、デジタルプランナーという列ではなく、自身でプログラムを開発するクリエーティブテクノロジストという列を新たに作った。
電通の菅野さんもsound of hondaでカンヌグランプリを受賞。
データとアートを結ぶ誰もやったことのないやり方で感動を作った。
人が沢山並んでいる列に並び、一人ひとり抜き去る楽しさもあるだろうが、人のいない列を自ら作り、そこの一番前に並ぶというのも大切だと思う。
特に若い人こそ、今いる会社への帰属意識が低く、いつまでもその会社で働きたいとは思っていないのだから。
ずっとそこに腰据えて働くつもりがなければ、自分しかいない列を作り、自分しかできない仕事を作るべきではないか。