西田宗千佳著の
「スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場」を読み終える。
「スマート」という単語も流行ではあるが、次世代テレビである「スマートテレビ」について知識が少ないので買って読んでみた。
地デジ化の移行やエコポイント、3Dテレビの注目などで少し前までテレビの需要は大きかったが、頻繁に買い替える家電でない分、急激に需要が小さくなり、かつテレビの単価も下がることで現在は非常に厳しい市場に変わってしまった。
もともと家電企業は、ほぼ全力で生産を行った時に併せて生産ラインの最適化が行われ、それを下回ると利益率が落ちる。これによって家電企業は、稼働させることによって損失が生まれる状況となった。更に円高が加わってコスト競争力が落ち、業績悪化に繋がったという見解だ。
テレビの価格が10年で一桁下がったのも凄い。アメリカでは、55型のテレビが約8万円で販売されている。これは、半導体の集積度は18ヶ月で倍になるというムーアの法則も示すように、半導体の集積度が高性能化に加え低価格化に大きく影響しているためだ。
サムスンなどは、小型ディスプレイでかつ消費サイクルの早いスマートフォンの製造強化に目を向けている。
テレビのネット接続率は、各メーカーの社内調査を総合すると、おおむね10%程度しかない。魅力あるサービスとコンテンツがなく、操作性も良くなかったことが大きい。
iPhoneのようなスムーズな操作性を生活者は望むのは想像できる。また、海外でテレビのネット接続を伸ばしたネットフリックスのような映像配信サービスが日本国内でも普及していけば、利用者の増加に貢献するだろう。
パソコンメーカーのレノボが発売するスマートテレビはアンドロイドそのものであり、いわばタブレット端末をテレビに拡大したものだ。Apple側が考えている新型AppleTVは、おそらくiPhoneのように垂直統合型のビジネスモデルを作り上げると考えられる。次世代Googleテレビでは、現在のAppleTVのように既存のテレビに付属できる製品を考えていると言われており、各社様々なアプローチでスマートテレビ市場の形成を行っている。
どの企業が成功するか正直読めないが、ネットとテレビの新しい利用の仕方が提供されることを生活者は楽しみに待っている。
アスキー・メディアワークス
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