ひとりごと

考えるということ

マーケティングの部署にいると「考える」ということを常に求められる。

答えの見えない課題が多い。

クライアントの課題が年々複雑になっており、決められた売り物で対応できるということは殆どなくなっている。

自分も、最初よく間違えたのが…

先輩から「考えろ」と与えられた課題について取り組んでみると
それは「考える」ではなく「整理する」ことをやっていた、ということがある。

いまはネットで調べれば、多くの情報が簡単に手に入るため
それらしく、市場や、競合の動き、生活者の反応などをまとめることができる。

しかし、それは「考える」ではなく「整理する」という行動であり、
全く別の作業だったりする。

情報をまとめるというのは、
情報を集め、並び替えをするという作業であり
思考をあまり使わず、おおよそ誰でもできる作業ではないか。

考えるというのは、
ある課題に対し、「何故?」「何故?」…を延々と繰り返して、課題の根本を探っていく作業であったり、その根本を解決するために様々な角度からアイデアをひねり出していく作業のことだと私は思う。

 

その「考える」に対して、少し前に読んだ「採用基準」という書籍に気になる言葉が多く載っていた。

著者は元マッキンゼーの採用担当者で、「考える」ことにたけた外資コンサルがどのような人を採用しているかをまとめた書籍だ。

採用基準

採用基準

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伊賀 泰代
ダイヤモンド社
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コンサルタントに向いているのは「半端でないレベルまで考え尽くすことができる人」です。

純粋に考えることが好きで、考えることが楽しく、ヒマさえあれば何かについて考えている、思考意欲の高い人です。

考えるという行為は、それなりにエネルギーと時間を消費します。

思考意欲の高い人は、「そんなことを考えて、何の役に立つのか」と思えるようなことを、延々と考えています。

必ずしも思考スキルが高くなくとも、考えることが大好きで、時にはひとつの課題について数年がかりで考えているような人もいます。

コンサルタントに適正があるのはそういう人なのです。

考えることが好きな人と、嫌いな人が存在し、
考えることが嫌いな人は、何を見ても深く関心をもたず、すぐに考えることに飽きてしまうとも書いてある。

「考える」ということは
能力の前に、その活動に抵抗があるか、普段から行うことが好きであるかという素質もあるのだろう。

また、「思考力」以外に、「思考体力」という概念もあると書籍では書かれている。

「考える」という行為は、高いレベルの気力と体力を要します。

答えの糸口さえ見つからない難問について何時間も考えれば、誰でも頭が働かなくなるし、時には頭を使わないですむ単純作業をやりたいとさえ感じ始めます。

頭をフル稼働し続けるのは、とても疲れることなのです。

コンサルタントのような職業で成功するためには、この思考体力も重要です。

マッキンゼーのパートナーの多くは、高い洞察力や先見性など以前に、身体的、そして精神的な思考体力が突出しています。

彼らは10時間を超える飛行機移動を数日ごとに繰り返しながら、その移動中も含めて、ずっと考えています。

高い緊張感の中で何時間も議論を続け、体力的に消耗する飛行機移動を繰り返し、時には十分な睡眠時間を確保することもままならない中で、それでも明晰な思考や判断が可能になるだけの体力が必要なのです。

「考える」だけではなく「考え続ける」力が必要ということだ。

「考える」作業は確かにとてもエネルギーがいるが、それを続けるだけの身体的と精神的な体力を鍛えることも大事である。

ボストンコンサルティンググループの書籍でも、「考える」ことについて記載があった。

現ライフネット生命保険の代表取締役社長(元BCG)の岩瀬大輔氏のコメント。

成果を出すため「脳がすり切れるまで考える」こともよくあった。

BCGでは、考えて、考えて、ひたすら考える。

考えて考え抜くと、次のステージに上がれる瞬間がある。

BCGでは「結晶化」と言われていたが、時間をかけ、脳がすり切れるまで考えることで、本質が浮かび上がってくることを知った。

コンサルティング業は、どこも考えて考えて考え抜くことが、必須の能力となるのだろう。

最後に、広告会社の人の「考える」についても取り上げる。

電通のコミュニケーションデザイナー岸勇希さんのBlogではこんなコメントがあった。

学生の参加するコンペとかワークショップに対して…

兎にも角にも、まずは自分一人で、深く深く考えて、できるところまでやってみる。

その孤独な作業に向き合った方がいい。

そもそもアイデアとか企ては、一人でニヤニヤと、コツコツと考えぬく作業から始まると僕は信じている。

死ぬほど考え、気持ち悪いくらいニヤニヤしながらそれを詰め、詰め、詰め、十分に思考量を稼いだ後、はじめて同じくらい考えている(でもその考え方は自分とは違う)仲間と、議論、ブレストしないと、意味がない。

ブレストが視点を拡張し、アイデアを引き出す技術であることは間違いないが、引き出される側の準備(思考量)がなければ、当然引き出されるものもしれている。

岸さんはBlogやSNS、講演会などで「思考量」という言葉をよく使う。

一定量の「思考量」によって「思考力」が裏付けられるという考えからだ。

コピーライターの100本ノックにより、本当に良いコピーが1本生まれるように

考えて考え抜く「思考量」によって、「思考力」は鍛えられて
クライアントの真の課題解決にたどり着けるのだろう。

 

「考える」ということは、毎日行い続けるのはとても大変なことではあるが、それを行い続けることで、仕事や自分の評価にもきちんと返ってくる。

常に「何か」について考え続けよう。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
ストプラ・デジタル

 

三児のパパ

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