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日本でのD2Cブランドの難しさ

書籍「D2C「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略」が、ものすごく面白くて続けて2回読んでしまった。

 

Digital Native Vertical Brand、スモールマスなど呼び名は色々あるが、D2Cは、メーカーの皮を被ったテック企業あり、プロダクトブランドではなくライフスタイルブランドだ。

 

アメリカを代表する百貨店Searsが18年に破産法の適用を行い、Macy’s、JCPenneyなど他大手百貨店も店舗を閉鎖している中、D2CブランドのCasperやWarby ParkerがGUCCIやPRADAなど高級ブティックが並ぶNYのソーホー地区で店舗を次々と展開し、D2C通りと飛ばれているなどビジネスとしての勢いがある。

 

2年前から日本でもD2Cブランドが増え、記事やカンファレンスなども散見されるようになった。

 

FABRIC TOKYO、BULK HOMME、MEDULLA、youangeなど若手起業家や、タレントが立ち上げるブランドも出てきている。

 

大ロットで多くの人に届けることに力を入れている大手企業がすぐには取り組みづらい、パーソナライズ化や、小ロットで希少価値を高めた販売を積極的に行う。

 

この書籍の後半に日本でうまくいくのか、という考察が面白い。

 

高品質・低価格が当たり前の日本では高価格帯のD2Cが相性がいい

 

日本は長らくデフレの影響で、はるかに安くて高品質なものが簡単に手に入る環境にあり、コンビニやドラッグストアも高度に発達しており、いつでもどこでも満足度の高い商品が手に入る。

 

また、メルカリを中心としたリユース市場が活性化しており、新製品の市場を超える可能性もある。

 

アメリカで成功したD2Cブランドの多くが、大手よりも安く、ネットで手軽に手に入るというビジネス構造だが、日本はその市場が既に出来上がっているので、高品質・高価格かつニッチな商材の方がチャンスがありそうだということだ。

 

 

成長を続けるとD2Cブランドは旧来型のブランドと同じ振る舞いをする

 

また、そもそもD2Cブランドの成長もどこかで踊り場がきて、旧来型のマーケティングを取らざるを得ないという指摘もある。

 

Casperも売り上げが400億円をこえ、更なる顧客開拓のためにテレビCMを積極的に流し、ECや直営店のこだわりも捨て、AmazonやTargetなど小売り大手でも商品を販売するなど、これまで守ってきたD2Cらしさが希薄化せざるを得ないということがおきている。

 

踊り場のボーダーは売り上げが500億円あたりではないかとのこと。

 

テック系企業でGoogleやAmazonに買収されるために、大手テック企業の経営戦略に合わせて、その領域のビジネスを立ち上げるスタートアップが多く生まれたように、大手ブランドに買収されるためにD2Cブランドを立ち上げるスタートアップが今後増えそうだ。

 

フェイクブランドによる生活者トラブルも

 

Netflixのオリジナルドキュメンタリー番組、BROKEN -危険な商品-という番組で、有害コスメの特集がされている。

 

人気モデルのカイリージェンナーが展開するD2CコスメブランドのKYLIE COSMETICSは、あえてすぐに売り切れるほどの少数販売で、ブランドの高い熱狂度を保っているが、そこで買えなかった人向けに、Amazonを中心にフェイクコスメが販売されているという問題が起きている。

 

接着剤やガソリン、動物の糞尿を混ぜた粗悪なブランド品が中国を中心で製造され、世界各地でKYLIE COSMETICSの皮を被って販売されているもの。

 

熱狂ブランドに忍び寄るフェイクブランドという問題もD2Cには存在。

 

日本ではまだD2Cブランドの立ち上げが増えているフェーズだが、来年か再来年あたりには、その中でも大成功したブランドが出てきてその後、大手企業を買収する事例も出てくるのではないか。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
BI・デジタル・ストプラ

 

三児のパパ

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