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This article was written on 23 2月 2017, and is filled under BI, Business, Data, Digital, Marketing, Media, Movie, Research, technology, TV.

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データがないなら人力でアナログ情報をデジタル情報に変換せよ

この前、ヤフトピで取り上げられ注目されていた「恋愛統計」。

2016年に発行された「りぼん」などの児童誌3誌、「花とゆめ」などの一般誌8誌、ティーンズラブ誌13誌、レディースコミック誌4誌の4ジャンル28誌356作品、1万2580ページを、キャラの属性や関係性、ストーリー展開、体の接触表現など、ありとあらゆる要素をまとめ、分析した書籍だ。

 
ただまとめただけではなく、1ページ1ページ人力で漫画を読み込み、分析している。

アナログ情報を人力でデジタル情報に変換し、分析した労力に脱帽だ。

 

例えば、こんな分析が。

 

女性キャラで多い属性は「劣等感タイプ」で、児童誌の7割、一般誌の67%もある。

恋愛に仕事に友人関係に、いろいろとうまくいかず、他の女性と比べて劣等感を感じている主人公を起点にした劣等感を克服していくストーリー展開が多い。

 

男性キャラが女性のヒロインを褒めるのは、物語が進む終盤に連れて増加傾向にある。

また、抱きしめる関係図は、ティーンズラブ誌は男女両方からが高いのに対し、一般誌は男性からの方が顕著に高い傾向がみられる。

 

面白い考察が書かれている。

2015年に行ったボーイズラブの分析では、ボーイズラブ愛好家は、キャラに自己投影するとは限らず「主人公とヒロインの二人の部屋の壁になりたい」といった言い方を使うようだ。

主人公になりたい、ヒロインになりたいではなく、壁になりたい。

それは、自分に関係のない、安全な物語として読みたいという意図が隠れている。

 

更にいうと、それには、今の女性の現実世界のストレスを表現した漫画が多いことを意味している。

女性が生きづらさを抱える現実世界のストレスを癒すには、ストレスの原因に「近づく」か「逃げる」かの2択だ。

 

女性向け恋愛漫画には、男性社会の構造そのものである「社会的に地位が高い男性」に認められるという「近づく」パターンが多い。

一方で、そもそも女性がいない世界に「逃げる」のがボーイズラブだ。

 

ボーイズラブが好きな女性は、「女である煩わしさから逃げたい」と日々感じており、それを漫画にも求めている。

 

このようにアナログ情報をデジタル情報に変換する動きは、映画にもある。

有名な例に、有料動画配信の世界最大手Netflixのビッグデータ活用がある。

日本でもテラスハウスなど有力コンテンツを制作するなど、加入者を増やしているが、本場アメリカではデータドリブンなマーケティングを積極的に行っている。

生活者が好む最適な動画をレコメンドして、視聴時間や訪問回数を増やすために、アナログの映画情報を人力でデジタル化している。

 

Netflixがまず手掛けたのが、映画・ドラマを好む外部スタッフを数十名雇い、36ページのマニュアルを作成し、タグ付け作業を標準化した。

映画作品の情報だけではなく、監督や出演者、制作者、制作国、制作年、受賞歴、主人公の社会的受容性など、考え得るすべての項目をデータ化した。
スタッフに一つひとつ作品を見てもらい、それぞれデータ化していくのは気の遠くなるような作業だ。

そして、生活者の再生パターン、評価スコア、検索履歴、視聴時間、視聴日時、視聴している地理的位置、デバイスなど、あらゆる視聴データを細かく分析した。

 

結果、生活者一人一人に合わせた強力なレコメンドが実現できた。

更に、既存映画のレコメンドにとどまらず、Netflixでは映像制作にも取り組みだした。

 

Netflixは生活者の視聴行動の分析を進める中で、ある特定の層に、Kevin Spacey出演の作品で、David Fincherが監督をしている作品が好まれていることを導き、House of Cardsのリメイク作品を制作することを決めた。

結果として、本作品は、ネット配信サービスの作品として初めてエミー賞や、ゴールデングローブ賞を受賞した。

それにとどまらず、60万人以上の新規会員獲得や10億ドル以上の売上にも繋がった。
 
今の時代、デジタルシフトが進み、色々なものが見える化している中、このように今まで把握できなかったアナログ情報のデジタル化は広告業界も同じような視点が大切ではないか。

 

テレビ情報を人力でデジタルに置き換える、テレビのメタデータもあるが、雑誌、新聞、ラジオなどの「コンテンツ情報」もデータ分析可能な情報に置き換えることはできないのか。

広告に何回接触した、いくら投下した、という情報だけではなく、広告やそれ以外のコンテンツの中身まできちんと把握・改善可能な状態にしておく。

 

どのメディアのどの情報に接したことで意識変容や態度変容を起こしたのかを把握し分析する。

その分析をもとに、可能な限り施策を改善していくのだ。

 

データドリブンなマーケティングがあらゆるところで進む中、データに置き換えていくことも広告会社には必要な活動になってくるだろう。

広告主の方が積極的にデータを買い付け、様々な自社の商品のキャンペーン効果を把握している。

そんな中、広告会社の存在意義を出すには、それ以上に多くの情報を手に入れるか、広告主にはできない高度な分析を提供するかだ。

 

どちらも大事なことだが、前者でいえば、広告主が持ちえない情報を作り、情報格差を作っていかなければ行けないだろう。

また、後者は、データ分析に長けた人材をどの企業も中途採用で強化しているがその人たちに追いつかれないように、きちんと改善施策に繋がる分析ができる(ただの分析で終わらない)スキルを広告会社側で極めていく必要があるだろう。

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