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PRの効果を最大限に高める「8×3」の法則とは

「PRってお金かかるのですか?」

と、いまだにクライアントから言われることがある。

数年前に戦略PRという言葉が広がった時から、状況はあまり変わっていない感がある。

別にクライアントに限ったことではない。

そもそも広告会社の中でも、キャンペーン設計時の中盤から後半にかけて

「そうだ、PRもいるわ」

「このコンテンツを拡散させるためにPRやるか」

となり、PR部隊が投入される。

そして、PR部隊からすると、ほぼやることが決まってから呼ばれてもやれることは少なく、メディア側でなんとかねじ込むことくらいしかない。

結果、コンテンツが言の葉に乗ったり、テレビや新聞で取り上げられるようなネタに仕上げられていないため、たいして賑わいもせずに終わる。

そうして、PRの重要性がチーム内で理解されぬまま、結局次のキャンペーンでもPR部隊は最初から設計時に呼ばれないという悪循環を起こす。

そもそも、PRってどういうことをすれば成功するのか。

その成功した事例をチームメンバーが理解されていないと使われないのではないか。

PRについて最近発刊された書籍『共感PR』が、PRの使い方や成功事例をわかりやすくまとまっていたので抜粋する。

共感PR 心をくすぐり世の中を動かす最強法則
上岡正明
朝日新聞出版
売り上げランキング: 4,112

PRを成功させるために「8×3」の法則というのがある。

「8」で企業(自社)視点で強みを洗い出し、「3」の生活者視点で「8」の性質を客観視して確認するものだ。

まず、「8」について。

1.新規性
そのサービスや商品にはナンバーワン、オンリーワンだと言える何かがありますか?それは世界中や日本中、業界内で初めての試みですか?

2.優位性
競合や既存のサービスと比べて、明らかに違っていたり、優れていることはなんですか?

3.意外性
知人や顧客に話したら、「へぇ」と感心される、「ホントに!?」と驚ろかれた、「まさか!信じられない!冗談でしょ?」と笑われたことはありませんか?

4.人間性
開発や販売などに深く関わる人や経営者のエピソード及びストーリーはありますか?

5.社会性
世の中の流行やトレンドに重ね合わせることで、人々の興味や関心を喚起できることはありますか?社会ごとに変えられるキーワードがありますか?

6.貢献的意義
その商品やサービスについて社会や世の中の問題解決に役立つことはありませんか?

7.季節性
季節との関連性がある、または制定されている記念日や日にちの語呂などに掛けられるテーマはありませんか?

8.地域制
その地域限定やエリアならではの特徴はありませんか?

「新規性」をうまくついた事例について、鹿屋アスリート食堂がある。

鹿屋アスリート食堂は、アスリートのサポートプログラムを描くと同時に、一般の人々の食と健康も担う、これまでに日本にはなかったまったく新しい食堂。

皇居ランニングができる場所から徒歩3分のところにビルを設けて、1階がアスリート食堂、2-4階を更衣室やシャワー室などがあるランナーサポートルーム、屋上にはランナー同士が交流できる場を設けた。

結果、この新規性を押し出し、「皇居ランナーへの健康食 アスリート食堂登場」として主要新聞10紙以上に掲載され、雑誌などでも紹介された。

 

「優位性」をおした事例に、銀座テーラーがある。

銀座テーラーは、高級オーダーメイドスーツのショップだが、若手職人を育成するためにスーツの学校まで作った企業だ。

自社ビル内に学校を作ったことで、講師は授業の時以外は階下におりて仕事に取り掛かれるし、生徒も職人が実際に仕事をしている現場の側で学べることで、モチベーションが高まる。

非常にうまい仕組みを作り上げた。

結果、優位性を押し出したことで、日経新聞をはじめ、新聞各紙、ビジネス系の雑誌など多くのメディアに掲載された。

 

「意外性」を打ち出して成功した事例に、花のババロアがある。

花のババロアは、その名の通り花をふんだんに使ったババロアで、見た目が鮮やかでインスタジェニックなところから、若年女性に話題となるには十分な要素を持っていた。

この商品は見た目だけではなく、緑黄色野菜を上回る栄養価を持っており、パンジーに含まれるビタミンCはホウレンソウの約4倍、トマトの約9倍もあり、スイーツで栄養摂取ができるという、意外性を持っていた。

この意外性をうまく打ち出したことで、結果、新感覚お花スイーツという形で、数多くのネットニュースに掲載された。

 

「人間性」をおした事例は、数多くある。

人間性は、商品やサービスに携わった人の思いや苦労などを前面に出すもので、特にV字回復ストーリーがPR上の大きな効果に繋がりやすい。

「しまむら、V字回復の理由は「値上げ」にあった」

であったり、

「38億円の赤字だった無印良品がV字回復した時にやったこと」

といった見出しで取り上げられやすい。

苦労から這い上がって第一線で活躍する物語には、強い人間性と共感を呼び、PR効果が非常に高い。

 

「社会性」をつかった事例に、パンケーキのクリントンストリートベイキングカンパニーがある。

クリントンストリートベイキングカンパニーは、billsやEggs’n Thingsなど世界的なパンケーキ店がこぞって日本に進出したあとに出店した後発のパンケーキの企業だ。

日本では長らくパンケーキブームは続いているものの、以前より沈静化した状況だった。

そんな中、日本人はこれまでと違った新しいパンケーキを求めているという社会性を見出してPRを行った。

日本での社会性をうまく掴み、「ニューヨークセレブ仕込みの、ブランチスタイルが味わえる」というコンセプトで試食会を行い、数々のネットメディアで取り上げられた。

多くのパンケーキ店とは違う風貌をPRで作り上げたことが成功の要因だ。

 

「貢献的意義」をうまく活用した事例に、キリンフリーがある。

商品のコンセプトが「飲酒運転の根絶に寄与し、社会に貢献する」というものであり、発売後も、飲酒運転防止活動を支援するという社会貢献運動を実施していた。

ただ企業の利益を優先するものではなく、社会貢献という文脈を、企業活動としてもきちんと貫き、それをPRとしてもうまく活用していったのだ。

結果、この貢献的意義の要素が多くの人に共感され、生活者にキリンフリーの活動やコンセプトがストレートに伝わり、販売予測の6倍に達し、当時のノンアルビールのシェア8割を占めた。

ソーシャル時代には企業の取り組んだ姿勢はすぐに広まるし、表面だけの取り組みは生活者にばれてしまう。

 

「季節性」をうまくおしたものにレイコップがある。

レイコップは当初、日本には「布団にクリーナーをかける文化がない」ことで、思うように売れない時期があった。

PRを仕掛けた時期に、ちょうど中国からのPM2.5や花粉の猛威が連日報道されたことで、「布団を外に干さずに、清潔に保つ方法あります」ということをうまくPRで訴えた。

記者発表会では、タレントの藤本美貴を起用したこともPR効果を後押しした。

レイコップに最初に反応したのが、子どもが小さい母親層だ。

こどもの健康を第一に考える母親層はPM2.5や花粉から守りたいという気持ちは強かったし、部屋干しすることにどこか清潔感に自信がなかった。

そんなところにうまく合致したPRが投下されたわけだ。

結果、日経新聞や日経MJが取り上げ、追ってテレビ番組でも紹介されるなど、情報の連鎖が始まり、タイムリーなテーマとしてメディアに歓迎された。

 

「地域性」を使った事例に、イオンレイクタウンのイベントがある。

イオンレイクタウンは子どもがたくさん訪れる夏のイベントで、その年は、「かき氷のお店」を目玉の一つにしようと考えていた。

「かき氷のお店」を盛り上げることを考えていく過程で、もっと気軽にみんなで参加できて、いろいろな味を食べ比べながら、かき氷をネタに話が弾むイベントになることを目指した。

そこで、「地域性」に着目し、ご当地かき氷を発売することを考えた。

函館三大牛乳の一つを使ったミルクたっぷりのミルクde雪氷や、栃木の天然氷を使ったかき氷、おでんとかき氷を同時に食べる風習のある静岡によるおでん&かき氷セットなど、ご当地かき氷を複数出店した。

結果、テレビ局やスポーツ紙をはじめ、多くのメディアが取材に訪れ、1週間で5万人を超える大盛況のイベントとなった。

複数のかき氷を作ったことで、テレビの”絵的”なバリエーションも増え、多くのテレビ局が好んで取り上げた。

 

 

そして「3」について。

1.社会の視点
その情報は社会が求める情報ですか?

2.人(ターゲット)の視点
ターゲットとなる人に本当にアピールできる情報ですか?

3.メディアの視点
今、話題になっている、ブレイク前夜といった、旬の要素がありますか?

「8」で洗い出した、企業側の視点で見た商品やサービスの強みを、生活者視点に置き換えてみても変わらず強みと言えるのかどうかを確認・検証していく。

この項目は、ある種チェック項目だ。

社会が求める情報か、ターゲットとなる人が受け入れる情報か、各種メディアが取り上げたくなる情報か、という形で一つひとつ丁寧にみていく。

 

また、各種メディアでの広がり方についても記載がある。

一気に情報が広まるとき、次のような流れでPRが広がっていくケースがほとんど。

ネットの各ニュース(一次メディア)にプレスリリースで流した情報が載る。

新聞などが掲載する。

引き続き、ネットの各ニュースへの掲載が増える。

Instagram、Facebook、TwitterなどのSNSでも、ネットのニュースが引用されたり、一般の人々が商品やサービスそのものを紹介し始める。

テレビで放送される。

さらに、ネットニュース、SNSなどで拡散される。

ブームやトレンドとして定着する。

 

デジタルが普及したことで、拡散構造もマスからではなく、デジタルを隙間隙間に使いながら拡散されている。

お金を払ってメディアに掲載されるタイプのPRもあるが、コンテンツ力できちんと戦い、拡散されていくようなPRも大切だ。

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Profile

 

千田 智治
Tomoharu Senda

 

広告会社 勤務
BI・デジタル・ストプラ

 

二児のパパ

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